研究課題/領域番号 |
21K09121
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
筒井 泰史 金沢大学, 附属病院, 助教 (00722042)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | エクソソーム / 神経膠腫 / 微小環境 / 細胞外小胞 |
研究開始時の研究の概要 |
現在、悪性度の高い脳腫瘍を完治させることは難しい。悪性度の高い脳腫瘍に対する新規治療を開発するためには、その腫瘍のどのような特徴が悪性度と関係するかを解明する必要がある。近年、様々な細胞が分泌するエクソソームをはじめとする細胞外小胞が注目されている。また、腫瘍分野において腫瘍自体ではなく、その周囲の細胞が影響しあって、腫瘍に対して重要な役割を果たすことが分かっている。本研究では脳腫瘍の分泌する細胞外小胞が、腫瘍周囲の細胞に影響し、それが腫瘍の悪性度に関与するメカニズムを解明し、それを利用した新しい治療法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
悪性神経膠腫に対する新規治療開発のアプローチとして、腫瘍の分泌するエクソソームによる腫瘍周囲微小環境の整備メカニズムの解明が本研究の目的である。先行研究では、悪性神経膠腫細胞が分泌したエクソソームを解析し、それが作用するマイクログリア内の遺伝子発現の変化を評価した。その遺伝子の発現を制御するたんぱくがエクソソーム内に含有されることを示し、その阻害により抗腫瘍効果が得られることを示した。本研究ではその結果をもとに、先に解明したものとは別の機序の検索とその解析をおこなう。すでに得られている複数の候補分子について検討をおこない、腫瘍の悪性形質に有意な影響をあたえる分子の同定をおこなった。これによりエクソソームを介した悪性神経膠腫の微小環境整備機構があきらかとなり、それを抑制することによる悪性形質の阻害ひいては抗腫瘍効果をしめすことができる。しかし、腫瘍の増大や浸潤への効果を示す分子の同定には至っておらず、今後も引き続き検証を続けていく方針である。先行研究では腫瘍が分泌するエクソソームが作用する標的細胞としてマイクログリアに着目した。同様の機序での解析が難しいようであれば、アストロサイトや血管内皮細胞などの他の腫瘍周囲細胞への影響も評価する必要があると考えている。また、腫瘍細胞の免疫回避機構に着目し、エクソソームの関与を解析することもすすめている。その機序が解明されれば、悪性神経膠腫の免疫回避能を阻害することにより、自身の免疫細胞による抗腫瘍効果を高め、神経膠腫に対する新規治療に直結する研究結果が得られると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先行研究で挙げられた候補分子について研究をすすめているが、腫瘍の悪性形質に影響を与える分子の同定には至っていない。先の研究の結果では、エクソソームが作用したマイクログリア内の遺伝子発現の変化を評価し、その遺伝子の発現を制御するたんぱくがエクソソーム内に含有されることを示した。本研究では先行研究とは別の関連する分子の同定後に、メカニズムの解析やシグナルの評価をおこなう予定であったが、その分子が同定されておらず、当初の予定からは遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き関連分子の検証を続けていく方針である。先行研究では腫瘍が分泌するエクソソームが作用する細胞としてマイクログリアに着目したが、同様の機序での解析が難しいようであれば、他の腫瘍周囲細胞への影響も評価する必要があると考えている。 また、腫瘍の免疫回避機序へのエクソソームの関与についても新たに研究をすすめる予定である。
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