研究課題/領域番号 |
21K09126
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
松田 正司 愛媛大学, 医学部, 研究員 (40173843)
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研究分担者 |
鍋加 浩明 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (60581098)
カーン シャキル 愛媛大学, 医学系研究科, 助教(特定教員) (70746867)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 二分脊椎 / ヒヨコ / プロサポシン / 合成ペプチド / アストロサイト / 二光子顕微鏡 / 歩行異常 / 脊髄再開裂 / 神経成長因子 / 神経回路異常 |
研究開始時の研究の概要 |
二分脊椎症は運動、排尿障害、下肢の変形等が起こる重要な疾患である。これまで適切な歩行障害モデル動物が無く充分な治療法の検討がされなかった。申請者らは脊髄再開裂手術により歩行異常を示すニワトリ二分脊椎モデルを世界で始めて開発し、その病態に関して数報の重要な論文を発表した。神経栄養因子であるプロサポシンの合成ペプチド(PS18)を投与し、歩行障害が改善することを明らかにし論文を作成した。本研究の目的は、上記研究の発展として、本二分脊椎モデルでのPS18投与効果及びそのメカニズムの確認である。特に、初期に脊髄開裂部を覆うアストロサイトへのプロサポシンの遊走刺激効果に注目して二光子顕微鏡で研究を進める
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研究実績の概要 |
二分脊椎症は重要な疾患であるが、これまで適切なモデル動物が無く治療法の検討が困難であった。申請者らは脊髄再開裂手術により歩行異常を示すニワトリ二分脊椎モデルを世界で始めて開発し、病態に関して数報の重要な論文を発表してきた。本モデルにおいて、ヒト二分脊椎同様に孵化1日では立つことが出来るのに、日を追うごとに悪化した。ヒト二分脊椎においても、まさに同様の出生後の悪化症状は古くから知られ、その治療として出生直前に二分脊椎を外科的に閉じる手術(Meuliら1995,96)が行われたが、効果が低いことが報告された。そこで、我々の別グループが行っている神経栄養因子であるプロサポシンの配列の中で、生体内で神経保護作用が明確になっている合成ペプチド(PS18)を投与してみると明らかな治療効果が認められた。さらに、二分脊椎の開裂部を初期に埋めるのはアストロサイトである事を、二光子顕微鏡による解析より明らかにしている。二分脊椎の開裂部をアストロサイトが最初に埋めるということは当然予想されることであるが、今まで実証されていなかった。本研究ではこのことを実証し、さらに詳細に検討して、プロサポシン受容体を有することが知られているアストロサイトが、どのように二分脊椎の開裂部に遊走して行くかを、二光子顕微鏡を用いて明らかにした。アストロサイトは開裂部の脊髄組織表面のみならず、開裂部を覆うように進展した。脊髄開裂部は上部をアストロサイトの細胞膜が覆うのみならず、その細胞膜被覆部では開裂した両側の脊髄組織が再融合し、最終的には開裂部が閉じていた。従って、開裂部は薄い細胞膜のみが覆うのではなく、しっかりとした脊髄組織が上部を形成している。本研究により、アストロサイトが二分脊椎の治療に有益であることが判明し、本疾患治療薬としてプロサポシンやその受容体関連分子を標的とした薬物の開発に繋がることが期待される。
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