研究課題/領域番号 |
21K09133
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 (2023) 名古屋市立大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
井上 浩一 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80345818)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | グリオーマ / SGK1 / ミクログリア |
研究開始時の研究の概要 |
グリオーマは予後が悪く、より良い治療戦略が模索されている。脳腫瘍近傍のミクログリアは、中枢神経組織における異物の除去に関わるが、グリオーマからの液性因子等によって腫瘍の増殖・悪性化を促進するM2様ミクログリアに変容する。SGK1はミクログリアと近縁のマクロファージのM2様変容を促進する。そのため、脳内の神経/グリオーマ/ミクログリアの共存下では、SGKの阻害はグリオーマ自体の増殖抑制に加え、ミクログリアのグリオーマに対する攻撃を促進し、神経障害を減弱する可能性がある。本研究では、SGK阻害が、相乗効果的に作用し、腫瘍の治療に有効か検証する。
|
研究実績の概要 |
ヒトグリオーマのSGK阻害剤に対する反応を調べるため、細胞株T98GにSGK阻害剤gsk650394を投与したところ、阻害剤濃度の上昇と共に増殖は抑制されたが、50%抑制量(IC50)は100uM以上であった。また、別の細胞株F98を用いて同様の実験を行った場合はIC50は約10uMであった。さらに、T98G細胞ではgsk650394は細胞増殖に影響を与えない濃度で細胞移動を抑制した。これらの事から、SGK1の阻害はグリオーマの細胞増殖や移動能を抑制することが示唆された。続いて、ミクログリアのグリオーマに与える影響を検討するため、本申請課題でグリオーマ/ミクログリア間をつなぐ標的因子として注目しているIL-4の発現検討を試みたが、種々のコンディションでPCRでIL-4の発現が確認できなかった。脳内でIL-4の存在が認められるため、ミクログリア細胞株BV-2にIL-4 10ng/mlを投与してもミクログリアのM2極性のマーカーであるArg-1の発現変化は認められなかった。一方、SGK1破壊型BV-2細胞(Asai, Inoue et al 2018 IJPPP)にIL-4を投与したところArg-1遺伝子発現の増加傾向が認められた。これからミクログリアのIL-4依存性の極性変化にSGK1が関与する可能性が示唆された。続いてグリオーマ細胞株T98GにIL-4を投与し増殖を確認したところ、IL-4 30ng/mlまで増量しても大きな増殖変化は認められなかった。これらのことから、少なくともT98G株では当初予期したようにIL-4による増殖の増強が起こらないことが示唆された。これが一般的な事実だとすると、ミクログリアとグリオーの関係はIL-4を介しては特にないことになる。また、SGK1はIL-4の発現にあまり関与せず、ミクログリアの極性には関与する可能性が示唆された。
|