研究課題/領域番号 |
21K09136
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
小林 啓一 杏林大学, 医学部, 講師 (70406990)
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研究分担者 |
佐々木 重嘉 杏林大学, 医学部, 助教 (20894504)
市村 幸一 順天堂大学, 医学部, 特任教授 (40231146)
永根 基雄 杏林大学, 医学部, 教授 (60327468)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | CNS lymphoma / liquid biopsy / MYD88 / CD79B |
研究開始時の研究の概要 |
中枢神経系悪性リンパ腫(CNSL)は、高齢者に特に高頻度に発生する原発性悪性脳腫瘍であり、現在の診断法である脳生検術は、耐術能の低い高齢者への侵襲や周術期合併症が課題となっている。低侵襲に診断を行うべく液性診断(liquid biopsy)への期待が高まっており、本研究では髄液中遊離DNA(cell free DNA; cfDNA)を用い、CNSLの特異的遺伝子変異であるMYD88遺伝子変異、CD79B遺伝子変異を、digital PCR法、BNA Clamp-quantitative PCR(BNA-qPCR)法により検出するCNSL診断法を前方視的に検証し、臨床応用を目指す。
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研究実績の概要 |
中枢神経系悪性リンパ腫(CNSL)は、高齢者で2番目に頻度の高い原発性悪性脳腫瘍である。現在の診断法である脳生検術は、耐術能の低下した高齢者に対する侵襲や周術期合併症が課題であり、より低侵襲に診断を行うべく液性診断(liquid biopsy)への期待が高まっている。 我々は、CNSLにおいてdigital PCR法を用いて、髄液中遊離DNA(cell-free DNA, cfDNA)よりCNSLに特徴的な遺伝子変異であるMYD88 L265P変異を検出するliquid biopsyの検査条件を確立した。また、CNSLではCD79B変異もMYD88変異に並ぶ特異的な遺伝子変異として知られている。本研究では、CNSLの特異的遺伝子変異であるMYD88遺伝子変異、CD79B遺伝子変異を、digital PCR法、BNA Clamp-quantitative PCR(BNA-qPCR)法により検出するCNSL診断法を前方視的に検証し、臨床応用へつなげることを目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度も、理研ジェネシス株式会社 遺伝子解析部開発課とともに、MYD88 L265P変異、CD79B遺伝子変異のhot spot(c.586-591)をターゲットとした野生型BNAClamp、PCR probeを作成した。各種遺伝子変異を導入したプラスミドを用いた検証実験により、作成したBNA Clamp、PCR probeによりMYD88変異、CD79B変異検出を確認した。また、段階希釈実験では、変異アリル頻度(variant allele fraction; VAF) 0.5%でMYD88変異、CD79B変異が検出可能であり、臨床上実現可能な実験条件で遺伝子変異検出が可能な検査法を確立した。現在は、開発した検査法当研究室で保有しているCNSLの腫瘍DNA・髄液DNAのペア検体 15検体を用い、MYD88およびCD79B遺伝子変異検出の検査精度を後方視的に検証中である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度上半期には、CNSLの腫瘍および髄液DNAを用い、BNA-qPCR法によるMYD88遺伝子変異、CD79B遺伝子変異検出の検査精度の検証を完了させる。これに並行して、前方視的研究の開始に向け研究プロトコール作成等の手続きを進める。 さらに、前方視的研究を開始し、数百例を目標症例数として、研究協力施設で髄液・脳腫瘍組織を収集し、順天堂大学脳疾患連携分野研究講座でcfDNAの抽出、digital PCR法、BNA-qPCR法によるMYD88遺伝子変異、CD79B遺伝子変異検出の検査精度を評価する。残余DNAが生じた場合には、PyrosequencingやIon Protonシステムを用いたCNSLパネルで標的シーケンスを行い、他の遺伝子変異の解析も試みる。また、臨床情報と遺伝子解析データを併せて評価し、統計学的解析により、liquid biopsyに適する症例の特徴の検索や、疾患予後に関する遺伝子学的特徴の検索、バイオマーカーの探索も行う。 2024年度上半期は、収集したデータの解析を予定しており、2024年度下半期に研究成果を各種学会や英文原著論文で発表する予定である。
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