研究課題/領域番号 |
21K09142
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 (2022) 兵庫医療大学 (2021) |
研究代表者 |
清水 忠 兵庫医科大学, 薬学部, 教授 (40509022)
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研究分担者 |
篠山 隆司 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (10379399)
大森 志保 兵庫医科大学, 薬学部, 助教 (90379488)
中尾 周平 兵庫医科大学, 薬学部, 助教 (90868605)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ブロナンセリン / 代謝物 / 膠芽腫 / 探索合成 / 作用メカニズム / ドラッグリポジショニング / 新規誘導体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,大規模観察研究と化学構造からスクリーニングより見出したブロナンセリン (BLO)を鍵化合物として,1) BLOの既知および推定代謝物の網羅的な合成,2) BLOをシード 化合物とした新規誘導体の探索合成により,BLOの本作用となる抗統合失調症作用を減弱し,抗がん作用を増強させた新規膠芽腫治療薬を創製することを目的としている。さらに,既存薬,代謝物および合成誘導体の抗がん活性に関するメカニズムの解明を目指し,アフィニテ ィ樹脂や分子生物学的手法を用いてターゲット蛋白質の探索も行う。
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研究実績の概要 |
2022年度は、まず、代謝物M1の抗がん作用の阻害メカニズム解析を行った。その結果。BLO-M1は、膠芽腫細胞(U251, T98G)それぞれにおいてBLOよりも4倍程度強い活性を示すことを明らかとした。さらに、細胞骨格形成経路との関連性を検討した結果、U251細胞ののアクチンフィラメント形成がIC50付近(10μM)で減弱することを見出した。一方、スクラッチ圧政による遊走抑制効果を検討したところ、IC50付近(10μM)では効果が弱く、20μMで抑制効果を示していた。この結果は、BLOとは異なるメカニズムを有していることが示唆された。 次に、主要代謝物のBLO-M1のin vivo実験も志向したスケールアップのための合成ルート改良を行った。ミリグラムスケールの合成法では低収率かつ最終生成物の生成が困難であったことから、無保護のピペラジンを導入段階を、片方のBoc保護されたピペラジンの導入、続く脱保護による方法に変更することでBLO-M1のグラムスケール合成法を確立した。 さらに。活性向上を目指したBLO誘導体の合成を行った。BLO誘導体を13個合成し、悪性神経膠芽腫細胞 (U251) 細胞増殖率の変化で評価を行なった。その結果、AM2, 5, 6の活性が大きく上昇し、BLO-M1の知見も踏まえ、ピペラジン環4位の窒素は無置換が望ましく、水素結合ドナーとしての働きが活性発現に寄与している可能性が示唆された。 2023年度は、BLO-M1の活性メカニズム解明を引き続き行い、さらに、動物モデルにおいて活性を示すことを明らかとしていく予定である。また、誘導体合成では、炭素環部分の縮環やヘテロ原子の導入、ベンゼン環部分の構造変換を行い、更なる構造活性相関データを取得する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定したBLOの膠芽腫細胞増殖抑制メカニズム研究は論文掲載が確定したため、予定以上の成果が得られている。さらに、BLOよりも高活性を有する代謝物BLO-M1を見出し、その作用メカニズムの一部についても解明が進んでいる。さらに、誘導体合成の合成化合物数も当初の予定に近づき、必要となる構造活性相関も明らかとなりつつ。このため、最低限の成果は得られたものと考えており、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究では、BLO-M1の活性メカニズムおよびin vivoでの効果を確認する研究を進めると共に、探索合成によりBLO-M1よりも高活性な誘導体の取得を目指した研究を進めることを予定している。
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