研究課題/領域番号 |
21K09145
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
田中 慎吾 金沢大学, 医学系, 助教 (40507084)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 膠芽腫 / Notch signal / RBPJ / 幹細胞 / 腫瘍幹細胞形質転換 |
研究開始時の研究の概要 |
膠芽腫は脳原発腫瘍の中で極めて悪性で予後不良な腫瘍である。腫瘍幹細胞形質転換は、治療抵抗性に影響する原因の一つであり、その制御にはRBPJが関わっている。患者由来の膠芽腫幹細胞株を用いてRBPJの発現抑制株と過剰発現細胞株を作成し、腫瘍幹細胞形質転換と膠芽腫標準治療で用いられるテモゾロミドに対する反応性を解析することで臨床に直結する新たな膠芽腫治療の基礎基盤を構築する。
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研究実績の概要 |
臨床上、膠芽腫に対する標準化学療法としてテモゾロミドが使用されている。しかしながらテモゾロミドの効果は患者間で異なっている。この原因の一つとして膠芽腫の遺伝子背景の違いが挙げられる。 細胞核内タンパクであるRBPJはNotch経路の発現制御に関わっており膠芽腫に発現していることを確認している。RBPJがテモゾロミド抵抗性に関与するかどうかを検証した。作成した患者由来の膠芽腫幹細胞株(コントロール群)とRBPJ抑制膠芽腫幹細胞株(RBPJ抑制群)にテモゾロミドを投与して細胞増殖試験を施行した。両群ともに濃度依存性に細胞増殖低下を認めたがRBPJ抑制群がコントロール群に対して有意に細胞増殖低下を示す結果は得られなかった。次に膠芽腫細胞株(T98)を用いてRBPJ抑制細胞株を作成しテモゾロミドを投与する細胞増殖試験を施行した。T98コントロール群とT98-RBPJ抑制群はテモゾロミドに対して濃度依存性に細胞増殖低下を示した。またT98-RBPJ抑制群はT98コントロール群に対して軽度テモゾロミドの血中濃度(IC50)が低下した。従って、膠芽腫細胞株に対してはRBPJ抑制によりテモゾロミドの反応性が向上したが、膠芽腫幹細胞株においてはRBPJ抑制によるテモゾロミドの反応性向上は認めなかった。異なった結果が得られた原因として、膠芽腫幹細胞はRBPJを抑制したとしても幹細胞性質は保たれた状態となっており、幹細胞性に由来する薬剤抵抗性がテモゾロミド反応性に関与していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
膠芽腫幹細胞において想定される結果が得られにくい。 使用している細胞の感染があったため研究が一時的に停止した。
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今後の研究の推進方策 |
現在施行している膠芽腫幹細胞に対するRBPJの発現とテモゾロミドの反応性が上手くすすまないあるいは想定される結果が得られにくい場合は、幹細胞でなく 膠芽腫細胞株を使用してすすめることも検討する。既に臨床採用になっている薬剤の中でNotchシグナルのRBPJを阻害する薬剤が同定されており、この薬剤を用いることも検討する。
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