研究課題/領域番号 |
21K09159
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
大宅 宗一 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00383266)
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研究分担者 |
吉田 信介 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (70774529)
小幡 博人 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80224301)
山崎 厚志 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70220291)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | carotid artery stenosis / carotid endarterectomy / carorid artery stenting / chronic ocular ischemia / visual deficit / visual recovery / 内頚動脈狭窄症 / 内頚動脈内膜剥離術 / 頚動脈ステント術 / 慢性眼虚血症候群 / 網膜血流 |
研究開始時の研究の概要 |
頚動脈が動脈硬化によって細くなり末梢の血流が低下する頚動脈狭窄症は脳卒中の原因となる疾患である。脳卒中予防の目的で、内頚動脈内膜剥離術や頚動脈ステント術による再拡張治療が行われるが、近年は脳卒中予防だけでなく、術前に視力低下のある患者において網膜血流が改善し視力の改善が得られることがわかってきた。このような患者では、本人の自覚がないままゆっくりとかつ高度に視力低下が進行していたり、視力低下があって眼科を受診しても眼科の精密検査では異常がなく原因不明とされたりする場合がある。本研究により慢性的な網脈絡膜低灌流による視力低下という治療可能な可逆的な病態の理解に繋がると考えられる。
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研究実績の概要 |
内頚動脈狭窄症に対する血行再建術には、脳卒中の予防のために直接頚動脈を切開する内膜剥離術(CEA)と頚動脈内に狭窄部位を広げるステントを留置する血管内ステント留置術(CAS)の2つの方法がある。本研究では、頚部内頚動脈狭窄症患者に対する血行再建術前後で、慢性的な網脈絡膜低灌流が脳血行再建術後に改善するか、そして血流の改善と視力の改善の間の関連を示すことを目的とした。さらに改善するのであればどのような患者が視力改善効果の恩恵を受けるのかの予測因子を明らかにすること、を検討した。CEAを受けた患者39人、CASを受けた患者39人が登録され、術後の網脈絡膜血流と視力の前方視的な定量評価が行われた。その結果、CEAでもCASでも術側の網脈絡膜血流は統計学的に有意な上昇を示したが、術側の視力の有意な改善はCEA患者でのみ認められた。OCT angiographyで網膜血管密度を測定すると、CEA後よりCAS後では有意に網膜血管密度が低下しており、また術直後のMRI拡散強調画像で脳に微小塞栓が生じている患者で有意に網膜血管密度が低下していた。以上より、CAS患者ではステント留置により微小塞栓が生じ塞栓子が眼動脈を介して網膜へ流れることにより、術後の視力改善を妨げられている可能性が考えられた。脳卒中予防効果はほぼ同等とされるCEAとCASという2つの外科治療であるが、術後の視力改善効果はCEA後にのみ認められることが明らかとなり、術前に頚動脈狭窄と同側の視力低下を認める患者では、治療法を選択する判断材料となる可能性が示唆された。
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