研究課題/領域番号 |
21K09163
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
仁藤 智香子 日本医科大学, 医学部, 教授 (30409172)
|
研究分担者 |
須田 智 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00366733)
宮川 世志幸 日本医科大学, 医学部, 講師 (90415604)
笠原 優子 東京大学, 医科学研究所, 特任講師 (90391911)
永田 哲也 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 教授 (50362976)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 間葉系幹細胞 / エクソソーム / 脳虚血 / 炎症抑制 / 血管新生 / 細胞治療 / 脳梗塞 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、MSCから放出されたエクソソームが脳虚血後の抗アポトーシス・抗炎症・血管新生作用等により損傷脳組織の回復に寄与することが示され、培養幹細胞移植に代わる新たな治療ツールとして期待されている。私たちは、脳梗塞モデルにおけるヒト羊膜MSC(amnion-derived MSC:AMSC)の脳保護効果を確認しており、本研究ではAMSC由来エクソソーム(AMSC-Exo)を用いた急性期脳梗塞治療の有効性と安全性を証明し、その脳保護効果のメカニズムを明らかにする。急性期脳梗塞患者に対するAMSC-Exoを利用した治療法が確立されれば、超高齢社会における次世代型脳梗塞治療の構築へとつながる。
|
研究実績の概要 |
MSC由来エクソソームは幹細胞移植に代わる新たな脳梗塞治療ツールとして期待されている。我々は、ヒトAMSC由来エクソソーム(AMSC-Exo)を用いてマウス中大脳動脈永久閉塞モデルにおける脳保護効果を検討した。AMSCの培養上清よりエクソソームを超遠心法にて回収し、ナノ粒子解析システム(NanoSight)を用いて同定し、さらにエクソソーム・マーカーであるCD9およびCD63をELISA法にて確認した。CB17マウスを用いて遠位中大脳動脈永久閉塞(dMCAO)モデルを作製し、虚血24時間後にAMSC-Exo を経静脈的に投与した。AMSC-Exo群では対照群に比べて梗塞縮小効果を認め、姿勢異常の有意な改善が認められた(p<0.05)。虚血14日後において、ロタロッド試験では対照群に比べて騎乗時間が延長し(p<0.01)、Y-maze 試験では交換行動率の上昇傾向が認められた(p=0.05)。さらに、虚血3日後における虚血側半球における炎症性サイトカイン(TNF-α, IL1-β, IL-6)の有意な抑制効果が得られ、皮質虚血境界領域における炎症性サイトカイン(TNF-α, IL1-β)や活性化ミクログリア(Iba-1)発現の抑制(p<0.05, p<0.05)、虚血14日後にはKi67/CD31の有意な発現増強(p<0.01)を認めた。脳虚血モデルにおけるAMSC-Exo全身投与により、炎症性抑制効果を認め、運動機能の改善が得られた。さらに、血管新生効果も示され、認知機能においても長期的な改善傾向が認められた。この新たな治療は脳虚血後の脳保護効果に寄与する可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物モデルを変更したことにより、再現性の高い、安定した実験結果が得られている。
|
今後の研究の推進方策 |
AMSC-ExoのmiRNAのプロファイルを検討し、脳梗塞に対して有効な治療用miRNAについて検討を予定している。
|