研究課題/領域番号 |
21K09168
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
貴田 浩志 福岡大学, 医学部, 准教授 (80529454)
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研究分担者 |
立花 克郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40271605)
安部 洋 福岡大学, 医学部, 教授 (90368986)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ウルトラファインバブル / 低周波数超音波 / 遺伝子導入 / 中枢神経 / 遺伝子治療 / 膠芽腫 / 抗体-遺伝子結合ペプチド / mRNA / 抗体医薬 |
研究開始時の研究の概要 |
予後不良な原発性脳腫瘍の一つである膠芽腫に対し、抗体医薬、遺伝子治療薬、直径1μm未満の超微細気泡であるウルトラファインバブルを組み合わせた新規治療の開発を目指す。抗EGFR抗体を作用させたEGFRvⅢ変異膠芽腫細胞株で、抗体のEGFRvⅢ阻害効果と下流・周辺シグナル経路の活性化状態を解析する。有効性が期待できる抗EGFR抗体と、その下流経路を抑制するshRNAプラスミド、ウルトラファインバブルを組み合わせて膠芽腫細胞株・モデル動物に投与し、その有効性を確認する。バブルによる細胞破砕、抗体によるEGFRvⅢ阻害、shRNAによる下流経路抑制を同時に生じさせ、相乗的な抗腫瘍効果向上を目指す。
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研究実績の概要 |
ウルトラファインバブル(UFBs; Ultarafine Bubbles. 直径1μm未満の超微細気泡)は周波数ごとに異なる超音波応答性をもつことが明らかになった。ウルトラファインバブルは4-14MHzの高周波数超音波に共鳴して高輝度を呈し、超音波造影剤として機能する一方で、計算上の共鳴周波数から大きく外れた100kHz以下の低周波数の超音波によって容易に崩壊することが明らかになった。超音波の周波数によって異なる応答を示すUFBsの性質の発見は高周波数超音波による疾患の診断(Diagnostics)と、低周波数超音波による疾患の治療(Therapeutics)を行うTheranoscics(セラノスティクス)をへの応用が期待できる成果である。 組織浸透性が高く、熱変換率は低いという低周波数超音波(100kHz以下)の特性を活かし、生体の深部組織への遺伝子送達を可能にした。BALB/cマウスに対し、Luc2遺伝子を搭載した哺乳動物細胞発現プラスミドベクターとアルブミン殻ウルトラファインバブル混合液を、腰椎穿刺で髄腔内投与し、超音波素子(駆動周波数47kHz、音響強度1.29 W/cm2、直径8mm)を頭蓋内に向けて2秒間の超音波照射を3回し、頭蓋内に遺伝子を導入した。24時間飼育し、IVIS Imaging systemを用いて、基質の腹腔内注射後の頭部の相対発光強度(RLU)を測定した。プラスミドDNAとともにウルトラファインバブルを注射した群ではプラスミドDNAのみを注射した群と比較して、遺伝子の導入効率は10.05 倍のRLU 6.78×10^4に増強された。この成果により、全身循環を介さず、頭蓋内組織への選択的遺伝子送達が可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は生体マウスを用いた膠芽腫の治療実験までは到達しなかったものの、ウルトラファインバブルの低周波数超音波への応答性、ウルトラファインバブルと超音波を用いて、BBBを介さず髄腔を介して脳内に遺伝子を送達を可能にする新規の方法が確立された。この成果により、腫瘍モデルマウスの治療実験の実施に向けた大きな発展がみられ、次年度に実施する体制が整ったことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画を1年間延長し、今年度までに得られた成果をもとに膠芽腫モデルマウスの治療実験を行う。具体的には、膠芽腫細胞株を移植したマウスに対し、shRNAプラスミドベクター、抗EGFR抗体医薬とウルトラファインバブルを投与し、超音波照射によって送達し、抗腫瘍効果を確認する。
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