研究課題/領域番号 |
21K09175
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
礒田 治夫 名古屋大学, 脳とこころの研究センター(保健), 教授 (40223060)
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研究分担者 |
平野 祥之 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (00423129)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 人工知能 / 深層学習 / ノイズ軽減 / 脳動脈瘤 / 4D Flow MRI / 磁気共鳴流体解析 / 計算流体解析 / 4D Flow / 高分解能 / 血流動態 |
研究開始時の研究の概要 |
血流動態(壁剪断応力など)が血管病変発生・成長に大きな役割を担い、脳動脈瘤の発生・成長・破裂のリスクを予測するバイオマーカーになり得る。磁気共鳴流体解析 (MRFD)はヒトから直接データを収集できる利点はあるが、空間分解能と時間分解能が低い。一方、計算流体解析 (CFD)は高時間分解能・高空間分解能であるが、処理時間や計算時間が掛かる欠点があり、臨床応用しにくい。そこで、磁気共鳴画像データを入力データ、CFDの結果を正解データとする教師データを学習させ、臨床現場で直ちにCFDと同等の血流解析結果(バイオマーカーの数値も含め)が得られる「深層学習を用いた人工知能のモデル」を構築することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、深層学習を用いた人工知能(AI)を用いて脳動脈瘤の磁気共鳴流体解析(MRFD)結果の速度ベクトルのノイズを低減し、計算流体解析 (CFD)に匹敵する精度を持つ結果に変換することである。 初めに、空間2次元ノイズ低減モデルを開発した。このモデルでは、CFDで得られた脳動脈の3方向速度ベクトルデータを正解データ、このデータにMRFDを模倣したノイズを加えたデータを入力データとして作成した教師データを、ノイズ除去モデルWin5-RBに学習させた。モデルの精度検証には、2種類のテストデータを用いた。1つは、CFDにノイズを加えることで作成した疑似MRFDデータ、もう1つは、実際のMRFDデータを用いた。その結果、定性的・定量的に、ベクトルに影響を及ぼすノイズが低減可能である深層学習モデルが開発できた。しかし、壁剪断応力 (wall shear stress, WSS) において、収縮期でノイズ低減が不十分であった。これは、流速の高い収縮期や、流速の低い拡張期の違いをモデルが学習できていないことが原因であると推測された。 次に、収縮期のWSSに影響を及ぼすノイズの低減を目指すため、空間2次元に時間の要素を加えた3次元ノイズ低減モデルを開発した。2次元ノイズ低減モデルの教師データに時間変化を追加することで、教師データを作成した。このデータを、ノイズ除去モデルWin5-RBに学習させ、深層学習モデルを作成した。2次元ノイズ低減モデルと同様に精度検証を行った結果、定性的・定量的に、ベクトルに影響を及ぼすノイズの低減が可能であり、さらに収縮期のWSSのノイズ低減も可能な深層学習モデルを開発できた。 また、Physics informed neural networks を用いた高空間分解能高精度の深層学習モデル開発も現在並行して研究中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度、ノイズ除去モデルWin5-RBを使用した研究では、「空間2次元」並びに「空間2次元+時間」情報を持つ教師データで脳動脈瘤速度ベクトルの検討を行った。まだ、MRFDが持っている速度ベクトルの全ての情報である「空間3次元+時間」を教師データに使用することに着手できていない。また、高空間分解能化の検討は不十分である。
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今後の研究の推進方策 |
ノイズ除去モデルWin5-RBを使用した研究では、「空間3次元+時間」を教師データに使用するモデル構築を行う。これが終了後に、高空間分解能化を目指してモデル構築を狙う。 また、Physics informed neural networks を用いた高空間分解能高精度の深層学習モデル開発を更に進める。
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