研究課題/領域番号 |
21K09187
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
齊藤 邦昭 杏林大学, 医学部, 講師 (50446564)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | グリオーマ / メチル化 / エピゲノム / メチル化プロファイル / 膠芽腫 |
研究開始時の研究の概要 |
グリオーマのゲノムワイドメチル化網羅的解析によりメチル化プロファイルによる分類が可能となった。この分類ごとに、DNA脱メチル化薬、ヒストン修飾を標的とする治療、クロマチンリモデリングを標的とした治療など様々なエピゲノム治療効果を検証し、治療効果をもとに最適なメチル化クラスタリング法を再構築することで、エピゲノム個別化療法の確立を目指す。さらに、腫瘍のエピジェネティックプロファイルの経時的変化に対応した治療を行うため、liquid biopsyによるメチル化の検出、クラスタリングを基にした治療の創出を目指す。
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研究実績の概要 |
研究代表者が以前の研究でメチル化アレイ解析を行った130例の神経膠腫の中から膠芽腫43例の臨床データを収集し、予後と関連のあるメチル化部位、遺伝子を抽出した。上位の遺伝子群をgene ontology解析したところ、細胞周期関連でアノテーションされた遺伝子のエンリッチメントがみられた。TCGA(The Cancer Genome Atlas)のデータベースから入手できる膠芽腫のメチル化データを用いて検証を行ったところ、同様の結果が得られた。 さらにvalidationするために、当院にて手術を行った膠芽腫の腫瘍検体および培養細胞を用いた解析を行うこととした。膠芽腫からの腫瘍DNA抽出および培養細胞の樹立を行い、メチル化アレイ解析を行ったところ、メチル化アレイによるサブグループと予後との相関が得られた。テモゾロミドやアバスチンの治療効果との関連について、今後さらなる解析を予定している。 また、神経膠腫の患者血清および髄液からdigital PCRにより微量な腫瘍由来DNAを抽出し、IDH変異、TERTプロモーター変異、MGMTメチル化について腫瘍検体との比較を行い高い相関を得た。これらliquid biopsyでは、メチル化アレイ解析を行えるほどのDNA量は得られなかったものの、非侵襲的な方法で膠芽腫のメチル化分類を行い、早期に有効な治療を選択するための礎となるデータが得られたと考える。 今後、メチル化(エピジェネティック)プロファイルに応じた治療効果の検証後、治療効果を加えたメチル化分類を構築し、膠芽腫検体の再分類を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
メチル化アレイのデータと臨床データから、予後と関連のあるメチル化部位、遺伝子を選出したが、治療効果を検証するためのin vitro/in vivoの実験系が安定せず、研究がやや遅れている。培養細胞は樹立されているものの、5-Azaによる脱メチル剤の効果の検証がうまくいかず、メチル化プロファイルに応じたエピジェネティック治療の効果判定ができていない。治療効果判定後、検証のためにメチル化アレイ解析を追加していく予定であるが、まだできていない。
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今後の研究の推進方策 |
膠芽腫腫瘍検体から樹立した培養細胞を用いて、もともとのメチル化プロファイルによる治療効果の判定を行う。エピジェネティックステータスを変化させる治療がさらに有効か確認するため、5-Azaなどを用いて各メチル化群の治療効果の検証を行っていく。治療効果の差がわかれば、治療効果をもとにした膠芽腫メチル化分類を構築する。さらに検証するため、腫瘍検体のメチル化アレイ解析を追加していく予定である。
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