研究課題/領域番号 |
21K09196
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
辻 邦和 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, ジョイントリサーチ講座教授 (20323694)
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研究分担者 |
古賀 英之 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30594080)
宮武 和正 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (00777435)
片桐 洋樹 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 非常勤講師 (50795028)
中川 裕介 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座准教授 (60822666)
中村 智祐 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (90725201)
関矢 一郎 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 教授 (10345291)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 半月板 / BMP / TGFb / 形成 / 再生 / 恒常性 / 軟骨 / 骨形成因子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、半月板におけるBMPの情報伝達経路を解析し、半月板形成、成熟、恒常性及び損傷後修復のプロセスにおける分子機能を解明することを主目的とする。最終的には、本研究で得られた成果を、半月板損傷に対する新しい治療法の開発につなげることを目標とする。さらに、BMP2cKOが円板状半月板様の形成異常を示したことから、BMP2cKO由来半月板の組織学的、物性学的解析を行い、ヒトの円板状半月板との比較から、ヒトの病態がBMP2シグナルの異常により誘導されるか考察を行う。
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研究実績の概要 |
半月板は膝関節機能の維持に必須の組織であるにも関わらず、その形成、成熟、恒常性の分子機序は未だ明らかとされていない。私たちはこれまでに、マウス胎仔肢芽の間葉組織特異的に骨形成因子BMP2を欠損させると、半月板原基の軟骨分化が非常に強く阻害され、円板状半月板様の形態異常が生じることを明らかとしてきた。一方で同時期の膝関節軟骨の形成は正常に観察されることから、膝関節組織の発生過程で、BMP2は半月板の形成を特異的にかつ厳密に制御していると考えられる。本研究の目的は、半月板形成過程におけるBMP/TGFbの情報伝達経路を詳細に解析し、その形成、恒常性、さらに損傷後修復の過程における生理機能解析を行うことである。更にその知見を半月板修復、再生医療へ還元することを目的とする。 本研究の目的から、本研究期間内において、マウスの内側半月板前方1/2切除モデルを用いて半月板の再生過程の組織学的解析を行った。また、その過程でTGFb/BMPファミリー分子がどのような生理機能の有しているか解析するために、In situ hybridization法を用いたリガンド、受容体の時空間的発現解析を施行中である。さらに間葉系幹細胞の凝集塊に対して軟骨分化誘導をかけた時にTGFb/BMPファミリー分子がどのような遺伝子の活性化を行うか網羅的に解析することを目的として、total RNA sequence解析を行った。その結果、間葉系細胞の軟骨分化誘導過程におけるTGFb/BMPファミリー分子の標的遺伝子の同定を行った。その結果を元に、半月板の形成、再生、恒常性におけるTGFb/BMPファミリー分子の生理機能に関する考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
半月板の再生過程を解析するための動物実験モデルの確立並びに解析を行うための実験条件の(タイムコースや解析方法)の確立を行なった。その予備的検討をベースに次年度に実験データの取得が順調に行えると考えている。また、間葉系幹細胞の軟骨分化過程においてBMP/TGFbファミリー分子により活性化される標的遺伝子の同定を行い、生理機能の考察を行う上で重要な新規知見を得た。
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今後の研究の推進方策 |
半月板形成過程におけるBMP及びその受容体分子の時空間的発現解析: BMP2欠損マウスにおいて観察された半月板の形成異常の機序を解明する上で、半月板形成過程におけるBMP及びその受容体の時空間的発現を明らかとすることは生理機能を考察する上で重要と考える。そこで、野生型マウスの膝関節を用いて、胎生15.5日胚から継時的に膝組織を採取し、半月板領域におけるBMP及び受容体分子の発現を、In Situ Hybridization (ISH)法を用いて解析する。 半月板損傷後修復過程におけるBMPの発現と修復プロセス促進の検証:半月板損傷後の修復過程におけるBMP分子の時空間的発現変化の解析を行う。具体的には、マウス内側半月板前方1/2切除を行い、再生芽におけるBMP発現領域をISH法(RNA Scope, Advanced Cell Diagnostic社)を用いて同定する。さらに、切除後リコンビナントBMPタンパクを関節内投与して半月板組織の再生が促進されるかを組織学的に分析する。 半月板形成過程並びに損傷後修復過程におけるTGFb/BMPシグナルカスケードの解析:TGFb/BMPファミリータンパクによる半月板形成並びに損傷後修復の分子機序を解明するため、野生型及びBMP2cKOマウスの胎生15.5日胚から継時的に膝組織を採取し、Laser Capture Microdissection法を用いて半月板組織を回収し、そこからRNAの採取を行う。RNA sequence法を用いて、野生型とBMP2cKOの間で発現量の異なる遺伝子の同定を行う。本実験により、半月板形成過程におけるBMPの標的遺伝子並びにBMPの発現を制御する候補遺伝子の同定を試みる。
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