研究課題/領域番号 |
21K09204
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中前 稔生 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (40595758)
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研究分担者 |
味八木 茂 広島大学, 病院(医), 講師 (10392490)
亀井 直輔 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (70444685)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 椎体終板障害 / microRNA / 腰痛 |
研究開始時の研究の概要 |
腰椎椎体終板障害における軟骨終板変性の分子機構の解明は,腰痛の新規治療開発に大きく寄与すると考えられるが未解明な部分が多い。そこで本研究は,軟骨終板変性の分子生物学的変化を解明するために,遺伝子発現ネットワークを司るmicroRNAのノックアウトマウスを用いて以下の課題を実施することで明らかにする。 1.加齢マウスを用いた軟骨終板変性の病態解明 2.軟骨で発現の高い2種類のmicroRNA(microRNA-23a/b クラスターおよびmicroRNA-26a)ノックアウトマウスを用いた軟骨終板における機能の解明 3.microRNAを標的とした軟骨終板変性に対する新たな治療法の開発
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研究実績の概要 |
超高齢社会である我が国において、腰痛の病態解明は喫緊の課題である。我々は臨床研究において腰椎椎体終板障害が高齢者の腰痛に強く関与していることを報告している。今回我々は遺伝子発現ネットワークを司るmicroRNA(miRNA)のノックアウトマウスを用いて、miRNAの軟骨終板変性における機能を解析する。 まずは野生型マウス(C57BL6/J)の自然経過において、18か月齢までの腰椎の軟骨終板の組織学的評価を独自のスコアリングを用いて行った。それによると、軟骨終板の変性は3か月齢より生じ、以後変性が進行した。軟骨終板内に小さな異所性骨化を生じ、順次骨化が増大した。また椎間板の末梢側の軟骨終板よりも中枢側の軟骨終板においてより早期に変性を生じ拡大した。一方、髄核、線維輪の組織学的評価では12か月齢で変化を認め、軟骨終板の変性に伴い髄核および線維輪の変性が惹起された可能性がある。 続いて軟骨で発現の高い2種類のmiRNA(miR-23a/b クラスターおよびmiR-26a)のノックアウトマウスを用いての軟骨終板の評価を行った。組織学的所見では、miR-23a/b クラスターのノックアウトマウスでは想定とは異なり、軟骨終板の変性は抑制されていた。一方、miR-26aのノックアウトマウスでは軟骨終板の変性は18か月齢の末梢軟骨終板において進行していた。また、軟骨特異的にmiR-26aを過剰発現させたマウスを用いて検討したところ、軟骨終板の組織学的変化は18か月齢においてもコントロールと比べ有意差を認めなかった。ただし、検体数が少なく、現在随時検体数を増やし組織学的評価を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標としていたmiR-23a/b クラスターおよびmiR-26aのノックアウトマウスにおける軟骨終板変化の組織学的データを得ることができており、計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きmiR-23a/b クラスターおよびmiR-26aのノックアウトマウスを用いての軟骨終板の組織学的評価を行う予定である。またDual Energy X-ray Absorptiometry(DEXA)法を用いて、野生型およびmiRNA(miR-23a/b クラスターおよびmiR-26a)のノックアウトマウスの軟骨終板に隣接する椎体における骨密度評価を行い、骨密度と軟骨終板および椎間板変性との関連について随時検討していく予定である。また軟骨終板におけるタイプ2および10コラーゲンの免疫染色を行うとともに、軟骨終板に隣接する椎体においては破骨細胞の評価のためにTRAP染色を行い、またCGRPやSubstance-Pなどの疼痛関連神経ペプチドやオステオカルシンに対する免疫染色を行う予定である。
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