研究課題/領域番号 |
21K09241
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
善家 雄吉 産業医科大学, 医学部, 准教授 (80615930)
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研究分担者 |
安藤 恒平 産業医科大学, 医学部, 助教 (80899518)
宮原 敏 産業医科大学, 医学部, 助教 (50878329)
齋藤 光正 産業医科大学, 医学部, 教授 (00315087)
濱田 大志 産業医科大学, 医学部, 助教 (20899306)
石川 成人 産業医科大学, 医学部, 助教 (50848314)
佐藤 直人 産業医科大学, 医学部, 助教 (20912968)
眞田 彩華 産業医科大学, 医学部, 助教 (10887045)
酒井 昭典 産業医科大学, 医学部, 教授 (90248576)
真弓 俊彦 産業医科大学, 医学部, 教授 (90281071)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 持続局所抗菌薬灌流療法 / MRSA / アミノグリコシド耐性遺伝子 / バイオフィルム / アミノグリコシド耐性 / 局所高濃度抗菌薬持続灌流 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、臨床で分離されたMRSAについて 1. アミノグリコシド耐性遺伝子を調査する。2. 菌の増殖やバイオフィルム形成を阻止するゲンタマイシン(GM)の最小濃度を調査することである。また、これらの研究結果を踏まえて、局所高濃度抗菌薬持続灌流療法におけるGMの適正使用量を決定すること。投与量を減らすことにより、全身的な副作用や局所の細胞傷害性を回避できるだけでなく、耐性菌出現を防止することにも貢献すると考えている。
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研究実績の概要 |
目的 バイオフィルムの抗菌薬治療には、最小発育阻止濃度(Minimal inhibitory concentration; MIC)より高い濃度の最小バイオフィルム撲滅濃度(Minimal biofilm eradication concentration; MBEC)が必要とされる。今回、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)臨床分離株に対するゲンタマイシン(GM)のMBECを測定し、アミノグリコシド系耐性遺伝子やMICとの関連を調べた。 方法 産業医科大学病院で2020年1月~12月に分離されたMRSA計104株を使用した。PCR法でaac(6’)-aph(2")、ant(4’)、aph(3’)-IIIの有無を調べた。MICは微量液体希釈法で決定した。バイオフィルムはpeg lidを用いて作成し、段階希釈したGMに24時間暴露後、生菌が認められない最小濃度をMBECとした。各変数の関連について、Fisher’s exact testで検定した。 結果 MRSA臨床分離株104株の耐性遺伝子の保有率は、aac(6’)-aph(2")が65.4%(68/104株)、ant(4’)が14.4%(15/104株)、aph(3’)-IIIが0%(0/104株)であった。68株(65.4%)がGMに耐性(MIC≧16μg/ml)を示した。MBECは67株(65.0%)が≧512 μg/mlを示した。MBEC≧512μg/mlであることはaac(6’)-aph(2")の保有(p<2.2x10-16)、ゲンタマイシン耐性(MIC≧16μg/ml)(p<2.2x10-16)と有意に関連した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コロナ禍の影響で海外から発注する実験器材の調達が遅れることはあったものの、集中的に実験を行うことにより、当初の予定よりも実験が進み、また非常に興味深い研究結果を得ることが出来ている。今後はさらに次なるステップへの研究へと進めていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
MRSA臨床分離株のバイオフィルムの撲滅にはMICより高濃度のGMを要することが確認された。骨軟部組織感染症に対して高濃度GMを用いた持続局所抗菌薬灌流療法が検証されているが、今回有効なGM濃度について基礎的データを取得できた。本結果から、病巣から分離されたMRSAの耐性遺伝子やMICを調べることで、バイオフィルムの薬剤感受性を予測できることが示唆された。また、今後は本研究結果を臨床応用するために、さらにその耐性遺伝子の有無による適正な濃度や適正な投与期間を調べるための分子生物学的な基礎研究を計画していきたいと考えている。
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