研究課題/領域番号 |
21K09244
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
菊地 克史 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (00602062)
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研究分担者 |
佐藤 信吾 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (40462220)
麻生 義則 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, ジョイントリサーチ講座教授 (50345279)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | PAI-1 / 肉腫 / 増殖 / RNAseq解析 |
研究開始時の研究の概要 |
プラスミノーゲン活性化抑制因子-1(Plasminogen activator inhibitor 1:PAI-1)は悪性腫瘍患者の血中に高発現し、しかもその発現量は腫瘍の悪性度と正の相関を示すが、肉腫においてもその例外ではない。本研究は、PAI-1阻害剤が、肉腫細胞の増殖を阻害し、なおかつ抗がん剤の感受性を高め、肉腫の増殖や転移を抑制する新たな肉腫治療薬として応用できる可能性を検証する。本研究においては、肉腫の治療抵抗性獲得の機序、およびPAI-1阻害剤による抗がん剤作用増強の機序を明確にし、将来的には肉腫を標的とした新しい治療コンセプトの非臨床における検証(非臨床POCの取得)を目指す。
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研究実績の概要 |
肉腫は化学療法や放射線治療に対する感受性は低く、再発や遠隔転移を発症した肉腫患者の 予後は極めて不良である。肉腫細胞はPAI-1を高発現して、自らの生存、浸潤、転移能など を担保する。申請者らは新規PAI-1阻害剤TM5614が肉腫細胞株増殖を阻害するが正常細胞増殖には影響を与えないことを見出した。本研究では更に発展させ、新規PAI-1阻害薬を用いた新規肉腫治療の可能性を検証することを本研究の目的としている。本年度にはアポトーシス活性に対するTM5614の影響をTUNEL法、Caspase3活性解析を用いて解析した。その結果、TM5614は肉腫細胞として用いたU2OS細胞、および正常細胞のコントロールとして用いた滑膜間葉系細胞ともにアポトーシスを誘導しないことが明らかとなった。次に申請者らは、フローサイトメトリー解析法を用いて、細胞周期に対するTM5614の影響を解析した。その結果、TM5614はU2OSに対してG2/S arrestを誘導することが明らかとなった。一方、滑膜間葉系細胞の細胞周期には影響を与えなかった。以前よりU2OS細胞、あるいは滑膜間葉系細胞にTM5614を作用させ、tRNAを採取してRNAseq解析を行っているが、本年度にはMetascapeを用いてエンリッチメント解析を行った。その結果、U2OS細胞由来RNAサンプルにおいて、細胞周期に影響を与える複数のシグナル経路に集積が認められた。次年度はこれらのデータをもとに、U2OS細胞、間葉系細胞を用いて更に機能解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肉腫細胞RNAseq解析によりTM5614のターゲット候補となる有意な結果を得たことは大きな前進である。一方、COVID-19感染流行に伴う研究自粛要請により、当初予定していたマウスを用いたin vivo実験への展開が困難となっている。
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今後の研究の推進方策 |
RNAseq解析によって得られたTM5614のターゲット候補となる細胞内シグナルについてU2OS細胞を用いて検証を進める。その成果を、研究計画最終年となる本年度において論文化する。一方、将来でのin vivoの実験展開を目論み、マウスのメイティングなどの準備を、研究自粛要請の解除に伴い進めていきたいと考えている。
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