研究課題/領域番号 |
21K09251
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
今釜 崇 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (00634734)
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研究分担者 |
坂井 孝司 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00444539)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 人工関節置換術 / 人工関節感染 / 早期診断 / プレセプシン / 関節液中プレセプシン / 人工関節のゆるみ |
研究開始時の研究の概要 |
人工関節感染は早期診断が重要と報告されているが、感度・特異度が高い検査方法はなく診断が遅れることがしばしばある。敗血症のバイオマーカーであるプレセプシンは他のバイオマーカーと比較して特異度が高いことが知られている。そこでプレセプシン値を人工関節感染例と非人工関節感染例の血液、関節液で測定し、2群間で有意差があるかどうか比較検討を行う。また感度・特異度を求めることで、プレセプシンが人工関節感染の早期診断を可能とする新規バイオマーカーとなり得るかどうかを検証する。
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研究実績の概要 |
人工関節置換術は主に膝関節や股関節の機能障害を有する患者に対して行われ、術後20年以上に渡る長期の良好な治療成績が多数報告されている。しかし注意すべき合併症の一つに人工関節感染がある。人工関節感染は通常抗菌薬だけでは治癒しない場合が多く、手術を要することがほとんどであり患者の身体的、経済的負担が大きくなるため重要な合併症である。感染後の治療成績を左右する因子の一つが早期治療である。そのためには早期確定診断が不可欠であるが、現在の主な診断基準は多項目の検査を行い総合的に判断する形式である。そのため診断が遅れることも珍しくはなく、感度や特異度の高い新規バイオマーカーが切望されている。 われわれは体内で細菌が単球等に貪食された際に放出されるタンパク質であるsoluble CD14 subtype(プレセプシン)に注目した。現在血中プレセプシンは敗血症のバイオマーカーとして使用されており、そこで人工関節感染の際には関節液中で細菌数が最も多いと考え、人工関節感染を診断する新規バイオマーカーとして有用なのではないかと推測した。 現在人工関節感染患者48名、非感染患者30名で血中および関節液中プレセプシン値を測定しており、中間解析で血中プレセプシンは人工関節感染患者412.2±234.2pg/mL、非感染患者239.1±179.9pg/mLと統計学的有意に人工関節感染患者で高値であった。また関節液中プレセプシンは人工関節感染患者で2098.2±981.2pg/mL、非感染患者で781.4±181.3pg/mLで統計学的有意に人工関節感染患者で高値であることが示唆されている。今後、症例数を増やしプレセプシンの感度、特異度などを算出し、人工関節感染のバイオマーカーになりうるか検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、合計78例の関節液中プレセプシン等を測定しており、中間解析では人工関節感染例は非感染例と比較して関節液中プレセプシン値は有意に高値であり、感度、特異度も85%を超えており人工関節感染の診断を行う新規バイオマーカーとなる可能性が示唆されている。しかし非感染群の症例数がやや少なく、統計学的解析を行う際にサンプル不足の可能性がある。現在、引き続き症例を収集中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き人工関節感染例および非感染例の症例を収集し、関節液中プレセプシン等の測定を行う。統計学的解析が可能となる症例数に達した時点で、人工関節感染例と非感染例の関節液中プレセプシン値を2群間比較し、ROC曲線を作成しarea under the curve、感度、特異度、positive predictive value、negative predictive valueを算出し関節液中プレセプシンの診断精度を検討する。
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