研究課題
基盤研究(C)
勤労人口の高齢化に伴い高齢者が労働現場に占める割合は年々高まっている。一方、骨粗鬆症や腰部脊柱管狭窄症、変形性膝関節症等の運動器変性疾患(ロコモティブシンドローム)の有症率は60歳以降急激に上昇する。よってそれらの予防やそれらに伴う転倒災害の対策は重要である。本研究では壮年層から高齢層の複数大規模集団にて各層におけるロコモや転倒の発生要因ならびに相互作用を調査し、また要因への介入効果を検討したい。
本研究では男性勤労者1504名を対象にCTでの10年後の体幹筋面積の変化を調査し変化量に影響する因子を解析した。また体幹筋面積の変化と腰痛との関連を解析。10年後の腰痛発症の抑制因子は900kcal/週以上の運動であった。更に転倒を調査をしたところ、311kcal/週未満の運動習慣が転倒の危険因子であり、デスクワーカーでは大腰筋面積が小さく、かつ減少量が大きいことが転倒の危険因子であった。また、勤労者への介入調査では、バランス運動のみ群、バランス運動+ストレッチ群、バランス運動+体幹筋力トレ群と対照群の4群で2ヶ月間実施したところ、バランス+筋トレ群でバランス機能の評価項目が有意に改善した。
超高齢社会の到来で働く高齢者は数も割合も増加し、2020年の統計では65歳以上の就業率は25.1%と9年連続で上昇した。それに伴い転倒による労働災害が増加しているがその原因は不明な点が多い。そこで我々は、勤労各世代の運動やバランス能力を測定し転倒のリスク因子を解析し介入調査を実施した。また、画像的に体幹筋面積の10年間の推移を縦断的に調査し、筋面積減少の要因を解析、さらに筋面積の変化が腰痛発症や転倒の発生に与える影響を解析した。今後、更なる高齢労働者の増加が見込まれることから、高齢労働者の運動能力と災害、運動器疾患に関する調査を行うことは社会的に必要かつ重要な研究といえる。
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