研究課題
基盤研究(C)
勤労人口の高齢化に伴い高齢者が労働現場に占める割合は年々高まっている。一方、骨粗鬆症や腰部脊柱管狭窄症、変形性膝関節症等の運動器変性疾患(ロコモティブシンドローム)の有症率は60歳以降急激に上昇する。よってそれらの予防やそれらに伴う転倒災害の対策は重要である。本研究では壮年層から高齢層の複数大規模集団にて各層におけるロコモや転倒の発生要因ならびに相互作用を調査し、また要因への介入効果を検討したい。
勤労人口の高齢化に伴い高齢者の労働現場に占める割合は年々高まり、一方、骨粗鬆症や腰部脊柱管狭窄症、変形性膝関節症等の運動器変性疾患(ロコモティブシンドローム)の有症率は60歳以降急激に上昇する。また、サルコペニアは、ロコモティブシンドロームの原因の一つであって骨格筋量と筋肉の進行性の喪失を特徴とし、特に大腰筋や脊柱起立筋の筋力の低下は、歩行障害や転倒・腰痛のリスクとなる。本研究では、複数の大規模コホートにて年齢各層におけるロコモや転倒・筋面積減少の発生要因ならびに相互作用を調査するため、昨年度の研究に引き続き、以下のことを令和4年度に実施した。1)生活習慣要因に着目した体幹筋面積や内臓脂肪面積の変化量の縦断調査:日立健康管理センタの定期検診受診者の中で、健診初年度と10年後にCTによる内臓脂肪面積測定を受けた男性勤労者1504名を対象とした。健診初年度の生活習慣病や呼吸機能に関係する項目(年齢、BMI、腹囲、血圧、HbA1c、TG、HDL、LDL、肺活量、1秒率)を説明変数とし、10年後の大腰筋、脊柱起立筋断面積の変化率を目的変数として、筋面積変化率に影響を与える要因を重回帰分析を用いて評価した。10年後の大腰筋の筋面積変化率には、初年度の内臓脂肪面積、HbA1cが有意な負の因子として抽出された。脊柱起立筋の筋面積変化率には、初年度の肺活量が有意な正の因子として抽出された。さらに、メタボリックシンドローム(メタボ)の群に限定すると大腰筋面積の変化率には、初年度の1秒率が有意な正の因子として抽出された。2)画像的研究にて10年後の体幹筋面積の変化を調査した30-60代の従業員1,849名に対し転倒と骨折に関するアンケート調査を実施した。現在1084名から返信が得られ、現在筋面積の減少と転倒、骨折について解析中である。
2: おおむね順調に進展している
概ね順調であるが、COVID-19蔓延の影響もあり病院患者(腰部脊柱菅狭窄症や下肢変形性関節症の患者)におけるロコモチェック、インソールを用いた生活動作解析については遅れており、これについてはR5年度に行う予定である。
体幹筋の筋面積減少に影響を与える生活習慣要因についての解析を更に進め、論文化する予定である。さらに筋面積や内臓脂肪面積の変化と転倒・骨折に関する調査に関しては対象者に送付したアンケート結果が集積されてきているので解析を進めていく。また、インソール型足圧測定装置を用いて腰部脊柱管狭窄症や下肢の変形性関節症症例の手術前後の客観的な活動性と痛み、転倒の評価を今後検証していく予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)
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