研究課題/領域番号 |
21K09286
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
藤井 亮爾 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 准教授 (10333535)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 関節リウマチ / コラーゲン誘導関節炎 / SPACIA1 / CDK6 |
研究開始時の研究の概要 |
関節リウマチ(RA)は、慢性的な炎症、異常な免疫、関節滑膜組織の過形成といった主な病態が複雑に絡み合っており、症状の進行をくい止めることが困難な患者は依然として少なくない。研究代表者らの研究グループでは臨床応用の成功例のないRA滑膜細胞増殖の抑制を主標的とした薬剤開発を目指し、SPACIA1分子を中心とするRA滑膜細胞増殖の分子機序を明らかにしてきた。本研究計画ではこれまでの研究成果を基盤として臨床へ応用するために次の二つの検討を行う。 研究①: 重症RA動物モデルにおけるSPACIA1機構の阻害と既存薬併用効果の実証 研究②: SPACIA1依存的ヒト重症RAのバイオマーカーの探索
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研究実績の概要 |
当研究室で同定した関節リウマチ(RA)滑膜細胞増殖に関わる新規因子SPACIA1の発現抑制がG1期細胞周期因子CDK6を介してTNFα誘導性滑膜線維芽細胞増殖を顕著に抑制することをすでに報告してきた。本年度は研究計画の研究 ① 「マウス重症RAモデルにおける、SPACIA1機構の抑制と既存薬併用効果の実証」の3つの検討のうち、「CDK6遺伝子欠損と生物学的製剤の効果検証」について実施した。全身性のCDK6遺伝子欠損マウスに対してコラーゲン誘導関節炎(CIA)を適用したところ、この遺伝子欠損は予想以上に抗炎症作用を示し、CIAをほとんど発症しないか、わずかに指に炎症が認められる程度で、骨破壊のような重篤な症状は観察されなかった(そのため抗TNFα製剤(エタネルセプト)との併用による更なる効果は観察不可能だった)。乳がん治療に利用されているCDK4/6阻害剤(パルボシクリブ)のように両因子を阻害せずとも、CDK6のみ標的とすることでCIAは抑制可能であることを実証した。また昨年度、有意差が認められなかった「CDK6阻害薬と生物学的製剤の効果検証」についても条件検討を重ね、両薬剤の有意な併用効果を実証することができた。CDK6は単独の抗リウマチ薬標的として期待できる。さらに研究 ② 「SPACIA1依存的ヒト重症RAのバイオマーカーの探索」についても検討した。培養滑膜細胞においてSPACIA1遺伝子発現をsiRNAにより抑制したところ、血中因子のエンドセリン1の発現低下が観察された。しかしながらSPACIA1によるエンドセリン1 mRNAの安定化は観察されず、間接的な変化と考えられた。今後は様々な重症度のCIAマウスにおいてSPACIA1発現とエンドセリン1の血中濃度の相関関係を観察していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度はマウスの飼養手技に問題があり、実験に必要な遺伝子改変マウスを十分な匹数得ることができなかったが、この手技を見直したところ交配率が改善した。その後は順調に実験が進みほぼ遅れは取り戻せた。一方で、SAPCIA1遺伝子欠損マウスと既存の生物学的製剤の併用効果の検討については、コントロールである生物学的製剤の投与条件に困難な部分があり、現在検討を重ねている。今後解決して当初の目標を達成したい。
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今後の研究の推進方策 |
CDK6単独阻害によるCIAの抑制効果について、学会発表、論文公表を進める。さらにSAPCIA1遺伝子欠損マウスと既存の生物学的製剤の併用効果を検証するため生物学的製剤の投与条件を最適化し結論を得る。またSPACIA1依存的重症RAのバイオマーカーの候補として同定したエンドセリン1について、まずマウスCIAにおいてSPACIA1発現との相関関係を検証する。
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