研究課題/領域番号 |
21K09307
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
片桐 洋樹 獨協医科大学, 医学部, 講師 (50795028)
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研究分担者 |
宮武 和正 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (00777435)
辻 邦和 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, ジョイントリサーチ講座教授 (20323694)
古賀 英之 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30594080)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | エクソソーム / 半月板再生 / 作用機序の解明 / 間葉系幹細胞 / 細胞外小胞 |
研究開始時の研究の概要 |
次の3ステップで研究を進める。①エクソソームによる細胞内発現変動因子の同定:RNA発現の網羅的解析/データ取得済み②エクソソームによる再生での発現変動因子の作用機序と組織幹細胞の再生組織内動態解析③対象microRNAの遺伝子改変によるエクソソームの半月板再生能の向上 ②-1 エクソソームの組織再生での発現変動因子の作用機序in vitro: CXCL5/6のシグナル経路をそれぞれ阻害した。ERKシグナル阻害にてCXCL5/6の低下、増殖能と遊走能の低下を認めた。同様にCXCL5/6のレセプターのCXCR2の阻害にて増殖能,遊走能は低下した。
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研究実績の概要 |
ヒト滑膜由来MSCsの培養液上清から10kDaのAmicon Ultra Filter Unit(EMD Millipore, USA)を用いてMSC-EVs を精製した。精製したMSC-EVs の評価としてNanoSight LM10によるナノ粒子解析にてサイズ、形態を評価した。ウエスタンブロッティングによるEV関連マーカーの確認、透過型電子顕微鏡による外観の確認を行った。MSC-EVsの解析では、ナノ粒子解析により、MSC-EVsのサイズあは124.3nmにピークを持つ粒子群であり、ウエスタンブロッティングにより生体内微粒子関連マーカーである CD9 ,63 を発現していることが示された。透過型電子顕微鏡では100nm程度のほぼ球形の外観が確認され、MSC-EVsの解析結果は過去の報告と同様の結果であった。軟骨細胞と滑膜MSCsに対し、MSC-EVsを添加し、増殖能をCCK-8 assayによる吸光度(n=6)、遊走能をTrans well assay(n=6)、発現遺伝子(DEG)をBGISEQ-500によるRNA-seq(n=4)で評価した。In vitro実験では軟骨細胞、MSCsの増殖能、遊走能はEV群において有意な向上を認めた。RNA-seqにおいてMSC-EVs投与によって軟骨細胞で168個、MSCsで43個のDEGが同定され共通するDEGは9個であった。軟骨細胞のDEGについてKEGG経路解析を行うとMSC-EVs投与によって「Cytokine-cytokine receptor interaction」の発現が最も有意に上昇を認めた。この遺伝子セットと軟骨細胞、MSCsで共通するDEGを比較するとCXCL5とCXCL6の遺伝子セットが共通の遺伝子として同定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症関連業務対応のため、またコロナ感染疑い等のため、予定外に時間を奪われた。そのため、実験へのエフォートの減少があった影響もあり、思ったように研究が進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
エクソソームの組織再生での発現変動因子の作用機序in vitroでの検討を引き続き行う。 軟骨細胞と滑膜MSCsに対し、MSC-EVsを添加しBGISEQ-500によるRNA-seqにより同定されたCXCL5とCXCL6の発現をqPCRで評価し、AKT阻害剤(LY290042)、ERK阻害剤(PD98059)を用いて、シグナル経路を検討した。また、CXCL5とCXCL6が作用する主要なターゲットであるCXCR2受容体のアンタゴニスト(SB265610)を用いてMSC-EVs作用の阻害実験を行う。 エクソソームによる半月板再生における組織幹細胞の経時的動態解析。半月板切除+エクソソーム投与モデルに細胞分裂時のDNAをラベルするチミジン・アナログ蛍光染色剤を投与することにより、エクソソームにより細胞増殖した細胞の再生組織内での動態を経時的に評価する。期待される結果:関節内特定部位内(滑膜を想定)の組織幹細胞へのエクソソームの取り込み、細胞増殖がおき、同染色性を保持した細胞が損傷部へ移動し、半月板の再生が生じる。予想された結果が得られないときの代替案:この段階での評価は厳しくすることを想定している。明らかな有意差がある場合のみ次の段階に進む。若しくは網羅的データに回帰し、バイオインフォマティクス解析により他の因子を選出し、実験を繰り返し恒常的かつ重要な細胞増殖因子を特定する。その際は以下の研究の対象microRNAは変更する。続いて、エクソソーム投与に併せて、Locked Nucleic Acidシステムにより、CXCL5/6の発現を調節するmiR-141、miR-132、miR-4284のmiRNA阻害型アンチセンスを導入する。評価項目はCXCL5/6の発現、増殖能、走化性、半月板組織再生とする。
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