研究課題/領域番号 |
21K09328
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
渕上 竜也 琉球大学, 病院, 講師 (10381211)
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研究分担者 |
神里 興太 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10554454)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 抑制性神経伝達物質 / 神経伝達物質 / ジストニア / 軟膜膜下投与法 |
研究開始時の研究の概要 |
異常な筋肉運動であるジストニアを生じるジストニアマウスを用いた研究を実施し、ジストニアマウスにグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD65)と小胞GABAトランスポーター(VGAT)という2種類のタンパク質を多く発現させることで以下の研究を実行する計画である. ①アデノ随伴ウイルス( AAV9 )を利用した新しい遺伝子導入技術(軟膜下注入法という新たな手術手技)によるGAD65/VGATの過剰発現による異常運動の改善 ②大脳運動野・頸髄におけるGAD65/VGAT増加確認:免疫組織学的検討,分子生物学的検討 ③脳脊髄における抑制性神経伝達物質の増加:分子生物学的検討,免疫組織学的検討
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研究実績の概要 |
ジストニアは根本治療法がない,運動異常と姿勢異常を主な症状とする疾患群である.本症は大脳にある基底核をはじめとする神経による運動促進と運動抑制のアンバランスが生じていることで,運動機能の調整がうまくいかないことが大脳で生じている。大脳皮質における興奮性神経伝達物質が増えていることが想定される.本申請研究の目的は「ジストニアに対する新たな治療法として大脳・脊髄における抑制性神経伝達物質の産生・放出を調整(増大)させることの有用性を評価する」ことである.つまり、「不足している抑制性の神経伝達物質を遺伝子治療の技術を用いて大脳脊髄で増加させることによりジストニアの症状が緩和できないか検討する」ことである。我々の技術であれば頸髄に対する一度の治療で大脳にも遺伝子を導入することが可能である.今回我々は本申請においてジストニア動物モデルを利用し,脊髄運動神経・大脳運動野をターゲットとした全身性ジストニアの新たな治療法を探索する.その具体的ステップとしては以下を計画している. (1)実臨床でも使用されているウイルスベクターであるアデノ随伴ウイルス( AAV9 )を用いた検討を行う。遺伝子導入による治療を目標としており、グルタミン酸デカルボキシラーゼGAD65/小胞GABAトランスポーターVGATの過剰発現による不随運動改善効果を検討する (2)大脳・頸髄における導入した遺伝子であるGAD65/VGATの増加を確認する。また抑制性神経伝達物質(GABA)の増加が生じているのかを検討する。 本年度は(1)を実施しつつ(2)へと移行している状況である。 また、神経細胞への遺伝子導入効率を考慮し、プロモーター選択を実施する計画としている。具体的には現在使用しているubiquitinに加え、synaptophysinも候補として検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初より計画していたアデノ随伴ウイルスの作成と培養細胞による遺伝子発現・タンパク発現に関して検討を行なった.今後動物実験へと移行する計画である.またより感染効率の高いベクターを設計するべく検討中である.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では「全身性ジストニアの症状改善が遺伝子治療による抑制性神経伝達物質産生増加(GAD65)と小胞トランスポーター過剰発現(VGAT)を行うことでえられるか」ということをジストニア自然発症マウス(dtマウス)に遺伝子導入することにより検討する計画である.ジストニアマウスに対してグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD65)と小胞GABAトランスポーター(VGAT)を過剰発現させることで以下の研究を実行する計画であるため、アデノ随伴ウイルスにより遺伝子導入を行う計画である.具体的には.以下の実験計画に沿って研究を推進する. ①アデノ随伴ウイルス( AAV9 )を用いた遺伝子導入によるGAD65/VGATの過剰発現による不随運動の改善:行動観察および電気生理学的検討、②大脳運動野・頸髄におけるGAD65/VGAT増加確認:免疫組織学的検討,分子生物学的検討、③脳脊髄における抑制性神経伝達物質の増加:分子生物学的検討,免疫組織学的検討 また、感染効率は実験系に多大な影響をきたすことが想定されるため、神経細胞への遺伝子導入効率を考慮し、手技の安定性を向上させる器具の開発も進めている。とくに投与用鈍針は重要になっており、工業製品がないため自作しているが、定型工場と生産契約を締結し、安定的な器具供給を可能とした。ウイルスベクターに関してはプロモーター選択を実施する計画としている。具体的には現在使用しているubiquitinに加え、synaptophysinも候補して検討中である。AAV9にこだわらず、AAV2等の使用も可能となるよう進めている。
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