研究課題/領域番号 |
21K09336
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 福岡歯科大学 (2022-2023) 福岡大学 (2021) |
研究代表者 |
西尾 淳 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (90360304)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 脱分化型脂肪肉腫 / 異型脂肪腫様腫瘍 / 脱分化 / 粘液線維肉腫 / 紡錘形細胞脂肪腫 / 染色体異常 / PDX / 遺伝子異常 |
研究開始時の研究の概要 |
脱分化型脂肪肉腫は手術以外に有効な治療法はなく、高頻度に転移を生じ、現在でも切除不能および局所再発例の予後はきわめて不良である。また、脱分化型脂肪肉腫をはじめとする悪性軟部腫瘍はその希少性から、研究材料が圧倒的に不足しており、個別化医療に向けた研究開発が遅れる分野の一つとなっている。 本研究では脱分化型脂肪肉腫のPDXモデルを作製し、肉腫幹細胞の同定と網羅的ゲノム解析を行うことで、脱分化誘導にかかわる遺伝子を明らかにする。この研究によって脱分化型脂肪肉腫のゲノム異常のさらなる理解が可能となり、分子背景に基づいた個別化治療の開発と臨床現場への導入につながることが期待される。
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研究実績の概要 |
脱分化型脂肪肉腫は中高齢者の四肢深部や後腹膜などの体幹深部に好発し、異型脂肪腫様腫瘍/分化型脂肪肉腫と同様の高分化成分と高悪性度で脂肪への分化を示さない脱分化成分(特に粘液線維肉腫/未分化肉腫)が隣接して存在する腫瘍である。脱分化型脂肪肉腫は手術以外に有効な治療法はなく、高頻度に転移を生じ、現在でも切除不能例、局所再発例、転移例の予後はきわめて不良である。本研究は脱分化型脂肪肉腫の発生から進展の各段階にかかわる遺伝子異常を同定することである。 まず脱分化成分でよくみられる粘液線維肉腫について、組織学的・免疫組織化学的検討および染色体分析を行った。粘液線維肉腫では複雑な核型異常を呈し、共通する構造異常は見出せなかった(Nishio et al. Diagnostics 13:3022, 2023)。GLUT-1の免疫組織化学染色では粘液線維肉腫で100%の陽性率を示し(Nakayama et al. Histology and Histopathology 38:47-51, 2023)、現在、脱分化型脂肪肉腫におけるGLUT-1の発現を検討中である。次に異型脂肪腫様腫瘍の分子細胞遺伝学的解析を行った。異型脂肪腫様腫瘍では、MDM2遺伝子を含む12番染色体長腕領域の増幅を伴った環状染色体が特徴的であることを明らかにした(Nishio et al. Anticancer Research 43:4295-4301, 2023)。 FDG-PET/CTを用いて肉腫のイメージングバイオマーカーとして期待されるSUV、MTV、TLGなどの定量値を測定し、得られたデータを解析した。現在、英語論文の作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の一部成果を英語論文化することに成功しており、一定の進展がみられている。しかし所属機関が変わり、診療科間の連携の調整や新しい研究環境を整えるのに時間がかかった。また、新型コロナウイルス感染の流行の継続によって研究の進捗が困難になる期間があった。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果に関し、積極的に英語論文化することによる結果公表を進めていく。
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