研究課題/領域番号 |
21K09365
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
小島 崇宏 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍制御学分野, 研究員 (40626892)
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研究分担者 |
神鳥 周也 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50707825)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | トランスクリプトーム解析 / 免疫治療 / バイオマーカー / RNA |
研究開始時の研究の概要 |
がん患者の血液中には、腫瘍およびがん微小環境から修飾を受けたさまざまな免疫細胞が循環している。これら循環している免疫細胞の遺伝子発現はダイナミックに変化しているとされており、この遺伝子発現の包括的な理解が宿主の免疫状態をモニタリングする上で重要になる。 本研究では、泌尿器癌患者の免疫チェックポイント阻害剤治療前の血液を用いた全血トランスクリプトーム解析を行い、デジタルサイトメトリーを用いて免疫細胞の構成を推定することにより、血中免疫細胞の多様性を明らかにする。さらに、推定された免疫細胞構成比、遺伝子発現プロファイルを用いて治療効果の予測可能なモデルの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
昨年度のRNAシークエンスが完了していた腎癌患者19例の予備解析に引き続き、今年度はさらに30例の腎癌患者の全血RNAシークエンスを行い、合計49例で追加解析を行った。イピリムマブ+ニボルマブ群は19例、ニボルマブ群は14例であった。奏効性における最大の差を明らかにするために、RECISTのSD症例を除いた合計33例のトレーニングコホートで、奏効群(CR+PR)と非奏効群(PD)とで発現変動遺伝子(DEG)解析を行った。抽出された460個の免疫応答経路に関連するDEGを用いて教師なし階層型クラスタリングを行った結果、奏効率が大きく異なる2つのクラスター形成を認めた。最短収縮重心法を用い、460個のDEGから14個の最小遺伝子セットを作成したところ、感度94.7%、特異度50.0%で奏効群を分類することが可能であった。最後に、DEG解析から除外したSD患者16例を追加した合計49例のバリデーションコホートで、14遺伝子セットのパフォーマンスを評価した結果、階層型クラスタリングよりも統計学的堅牢性が高いコンセンサスクラスタリングにて、奏効率が95.8% vs. 48.0%と顕著に異なるクラスター形成が再現性をもって可能であることを明らかとした。以上の結果より、免疫チェックポイント阻害剤で治療された腎癌患者の全血遺伝子発現プロファイルは奏効性によって明瞭に異なり、免疫応答経路に関連するDEGを用いたクラスタリングにより奏効群を正確に分類できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検体数がまだ限られているが、本手法による効果予測が可能なことを論文化することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今回の解析ではバリデーションコホートが一部トレーニングコホートの症例と重複していたため、次回はさらに症例数を増やし、独立コホートで今回見出した最小遺伝子セットを用いて奏効群が予測できるか検討を行う。さらに、イピリムマブ+ニボルマブ群、ニボルマブ群それぞれにおいても同様に解析・検討を行う。
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