研究課題/領域番号 |
21K09374
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
神波 大己 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (20402836)
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研究分担者 |
馬場 理也 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 准教授 (10347304)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 転座型腎細胞癌 / 多段階発癌機構 / mediator complex |
研究開始時の研究の概要 |
Xp11.2転座腎細胞癌発がんにおいて細胞増殖抑制の回避に必要なシグナル経路や代謝経路を、PRCC-TFE3発現誘導HK2細胞を用いたCRISPR/Cas9によるゲノムワイドスクリーニングにより明らかにする。経路の鍵となる候補遺伝子をCRISPR/Cas9システムによりノックアウトし、融合TFE3による増殖抑制が回避されるか否かを検証する。同定された候補遺伝子変異を公開データベースやヒト臨床検体でも検証し、マウスモデルを用いて実証する。明らかにされたXp11.2転座腎細胞癌発がん機構に基づいた新規治療標的に着目し、マウスモデルを用いた治療実験などの予備実験を進める。
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研究実績の概要 |
Xp11.2転座腎細胞癌は、転座によりX染色体上の転写因子TFE3 が融合遺伝子を形成し、恒常活性型の転写因子として機能することで生じる腎細胞癌である。我々は腎臓特異的融合TFE3(PRCCTFE3)発現マウスを作製することで、融合TFE3が腎細胞癌を発生させる事を世界に先駆けて明らかにした。一方で融合TFE3は、ヒト腎臓近位尿細管由来のHK2細胞やヒト胎児腎由来HEK293細胞に発現誘導させると細胞増殖を抑制する。個体においてがん遺伝子として働く融合TFE3が、どのようにこの細胞増殖抑制を乗り越えて発がんを惹き起こすのか、そのメカニズムは不明である。そこで本研究ではCRISPR/Cas9システムによるゲノムワイドスクリーニングを行い、融合TFE3による細胞増殖抑制の迂回に必要な遺伝子変化を同定する事で、Xp11.2転座腎細胞癌の発がん機構を解明する事を目標に研究を推進している。 令和4年度はCRISPR/Cas9を安定的に発現するPRCC-TFE3発現誘導可能なHK2細胞を用いたゲノムワイドスクリーニングを行い、融合遺伝子TFE3発現後の細胞増殖を抑制する候補遺伝子としてCCNCを同定した。CCNCはmediator complexの構成因子であり、同様にmediator complexの構成要素であるCDK8/19の特異的阻害剤を用いても融合遺伝子TFE3発現後の細胞抑制を回避することを確認した。以上からmediator complexは転写因子TFE3が転座により恒常活性型となった後の特異的な転写制御に関与していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、CRISPR/Cas9システムを用いたゲノムワイドスクリーニングの当研究室での樹立に成功した。さらにこれを用いて転座型腎細胞癌の発がんにmediator complexが関与している可能性を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
RNA シーケンシングやクロマチン免疫沈降シーケンシングを行い、mediator complexと融合TFE3による転写制御を解明する。更に、融合TFE3 による細胞増殖抑制の回避に必要なシグナル経路や代謝経路を明らかにし、融合TFE3発現誘導細胞株や転座腎細胞癌患者由来細胞株、遺伝子改変マウスを用いて解析・検証する事で、転座腎細胞癌の段階的な発がん分子機構を明らかにする。更に発がん分子機構に根差した転座腎細胞癌の新規治療法開発への展開を目指す。
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