研究課題/領域番号 |
21K09375
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
阪野 里花 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (20600753)
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研究分担者 |
武田 知樹 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (30814256)
安井 孝周 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40326153)
野崎 哲史 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (50813432)
水野 健太郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (70448710)
岩月 正一郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (70595397)
梅本 幸裕 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (80381812)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | micro〜TESE / 精細管 / apical ES / F-actin / 多光子顕微鏡 / micro-TESE / 非閉塞性無精子症 / 伸長精子細胞 / Sertoli細胞 / 精巣毒性 / Micro-TESE / 蛍光顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
【研究1:ヒトapical ESの解明】apical ESタンパクについて、閉塞性無精子症の精巣組織を用いてRNA-sequenceを行う。 【研究2:精子形成障害モデルの作成】ラットの精巣にシスプラチンを局所注射する。 【研究3:精子形成障害モデルにおけるapical ESタンパクの発現局在の解析】精子形成障害モデルラットの精巣切片を用いて、蛍光免疫染色を行う。 【研究4:蛍光標識抗体の作成】Apical ESタンパクに対する蛍光標識抗体を作成する。 【研究5:Apical ES蛍光標識による精子を含む精細管の同定】蛍光標識抗体を精子形成障害モデルラットに投与し、精細管を多光子顕微鏡で観察する。
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研究実績の概要 |
非閉塞性無精子症の標準治療である顕微鏡下精巣内精子採取術(micro-TESE)では、精子を含む可能性が高い太く蛇行した精細管を採取する。しかし精子採取率は25〜60%と低く、報告によって差がある。原因として、外観に基づいた精細管の選択が主観的であることが挙げられ、より客観的な手法の開発が望まれる。本研究では精子形成のマーカーとしてF-actinを用いた。F-actinは精子細胞の接着複合体であるapical ectoplasmic specialization(apical ES)に強く発現する。Apical ESがある精細管には精子細胞があると考え、apical ESのF-actinを蛍光標識することで精子を含む精細管の同定を試みた。 10週齢ラットの精巣に蛍光標識剤(SPY555-Actin)を注入し、組織の固定や薄切をせずに多光子顕微鏡で観察した。また、蛍光標識剤の精巣毒性をTUNEL染色で評価した。その結果、蛍光標識剤を注入したapical ESのF-actinが観察され、F-actinの局在を見ることで精子細胞の分化段階が識別された。蛍光標識剤を注入した精巣は正常精巣と比較して、1精細管あたりのTUNEL陽性細胞数は増加傾向にあったが、有意差はなかった。 精細管のF-actinを蛍光標識し、多光子顕微鏡で観察することで、組織の固定や薄切をせずに伸長精子細胞の分化段階を識別できた。蛍光標識剤の明らかな精巣毒性は見られなかった。多光子顕微鏡による観察は、活動的な精子形成部位を同定できる可能性がある。 より毒性の低い蛍光標識法を開発するために、蛍光標識剤の濃度調整や投与法の変更を行なっているが、その毒性評価については現在解析中である。その後は、ヒトapical ES蛋白の同定を行なって、蛍光標識のターゲットを検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
蛍光標識ターゲットの選定のために、ヒトapical ESのトランスクリプトーム解析を行う予定であったが、動物実験でのapical ESの蛍光標識、蛍光標識剤による毒性評価が優先されると考え、こちらを優先した。ラットapical ESの蛍光標識、蛍光標識剤による毒性評価に時間を要したため、実験遂行が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
膜透過性を持つF-actin蛍光標識剤によって、apical ESを視認可能とし、精子形成段階を同定することはできる。ただし、精巣毒性の問題があるため、試薬の濃度、投与法などについてはさらなる検討が必要である。ヒトapical ESのトランスクリプトーム解析よりも、さらなる動物実験が優先される。
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