研究課題/領域番号 |
21K09378
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
竹井 元 獨協医科大学, 医学部, 助教 (00708183)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 精子 / 受精能獲得 / 活性酸素種 / 受精 / 過酸化水素 / チオール基 |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類精子が卵と受精するためには、受精能獲得と呼ばれる一連の生理学的・生化学的なプロセスを経なければならない。受精能獲得プロセス中の精子は活性酸素種(Reactive Oxygen Species:ROS)を産生する。申請者はマウスを用い、ROSの中でも過酸化水素が受精に必要であることを世界で初めて示した。しかし、過酸化水素がどの様に受精を制御するかは不明である。そこで本研究計画では、受精能獲得時に過酸化水素により修飾される分子を網羅的に解析し、その過酸化水素の標的分子の機能解析行うことで、受精能獲得・受精を制御する過酸化水素の標的分子の同定を目指す。
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研究実績の概要 |
卵と受精するために必須なプロセスである受精能獲得中に、哺乳類精子は自発的に活性酸素種を産生する。マウスを用いた我々の先行研究より、受精に過酸化水素が必要であることが強く示唆された。しかし、過酸化水素がどの様な分子メカニズムで受精を制御するのかは不明である。そこで本研究計画では、過酸化水素がどの様に受精を制御するのかを明らかにするために、受精能獲得時に過酸化水素により修飾される分子を網羅的に解析し、受精能獲得・受精を制御する過酸化水素の標的分子を同定することを目的とし研究を行っている。具体的には1.過酸化水素が受精能獲得のどのプロセスに必要なのかを明らかにする。2.過酸化水素により修飾を受けるタンパク質を、チオール基に結合する蛍光色素であるMonobromobimane (mBBr)を用いて網羅的に解析する。3.過酸化水により修飾を受けるタンパク質の機能解析を行う。の3点について検討を行っている。 今年度は過酸化水素が精子と卵の膜融合に必要かどうかを調べるため、透明帯を除去した卵を用いた体外受精を試みたが、実験系の確立には至らなかった。 ところで、予備研究によりマウス精子が活性酸素種を産生する酵素が明らかになった。さらに、その酵素を強力に阻害する阻害剤も発見した。そこで次年度の研究では、この阻害剤が受精能獲得に与える影響を明らかにし、また精子/卵タンパク質のチオール基の修飾へ与える影響を明らかにしていくことを検討している。さらにカタラーゼを作用させた際の精子/卵タンパク質のチオール基の修飾との共通点や相違点を明らかにすることで、真に受精に必要な、過酸化水素による受精能獲得制御機構を明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度より担当する講義・授業が急激に増加したため、その対応に時間を割かなければならなかった。さらにコロナ禍の影響がまだ残っており、増加した講義へコロナ対応等の対策まで講じなければならなかったため。 また、卵と精子の融合を評価するFusion assay法を導入しようとしているが、条件の検討に苦戦しているため。
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今後の研究の推進方策 |
遅延しているFusion assay法を確立したのち、カタラーゼが精子と卵の膜融合を阻害するかどうかを確認する。その上で、チオール基に結合する蛍光色素であるMonobromobimane (mBBr)を用いて、カタラーゼにより過酸化水素を除去した場合としなかった場合の精子、卵のタンパク質のチオール基の修飾状態を網羅的に比較・解析することを試みる。そうすることで、受精能獲得の過程で過酸化水素により修飾を受けるタンパク質を同定することを目指す。 また前述のように予備研究からマウス精子が活性酸素種を産生する酵素を発見したことから、その特異的な阻害剤がチオール基の修飾に与える影響についても明らかにすることを検討している。そしてカタラーゼを作用させた場合との共通点、相違点を明らかにすることで、真に受精に必須なタンパク質修飾機構は何なのかを明らかにしていきたい。
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