研究課題/領域番号 |
21K09380
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
松本 一宏 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80366153)
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研究分担者 |
武田 利和 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (10383829)
田中 伸之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60445244)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 酸化ストレス応答 / Tadalafil / Mitomycin C / 間質性膀胱炎 / 酸化ストレス / PDE5阻害剤 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの知見およびpreliminaryな検討により、我々は間質性膀胱炎発症には酸化ストレスが強く関与していると仮説をたてており、酸化ストレス調節を行うことが発症の予防や治療に結びつくものと考えている。また近年の研究にて、Tadalafilは抗酸化作用を有することも明らかとなっており、Tadalafilを間質性膀胱炎治療に転用するドラッグ・リポジショニングを着想した。本研究によりこれら病態の究明および治療につながれば、下部尿路機能障害治療全体への波及効果は、臨床上非常に大きいものと推測される。
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研究実績の概要 |
下部尿路機能障害を伴う疾患は多々あるが、その中でも最も重症な蓄尿症状を伴う疾患として間質性膀胱炎が挙げられる。間質性膀胱炎は頻尿、尿意亢進、尿意切迫感、炎症、膀胱痛等の症状を示す、非感染性の指定難病である。残念ながら現存する治療薬・治療法はすべて一過性の症状改善にしかつながらず、生涯に渡って患者のQOLを阻害する。近年、その発症メカニズムに酸化ストレスが関与している可能性が示唆されている。マウス間質性膀胱炎モデルを用い実臨床に応用可能な新規治療法を確立することを本研究の目的とする。 本研究に用いるマウス間質性膀胱炎モデルはMitomycin Cをマウス膀胱に膀胱内注入することにより作成されるモデルである。これからのin vivoの実験をすすめていく足がかりのステップとして、ヒト正常尿路上皮細胞株、膀胱平滑筋細胞株を安定して培養し、Mitomycin Cが及ぼす酸化ストレスとTadalafil投与の抗酸化作用についてin vitro実験を行う予定であった。 ヒトの正常尿路上皮細胞株としてBdECを、膀胱平滑筋細胞株としてHBdSMCを培養したが、様々な培地の工夫を行ったが、BdECに関しては増殖速度が非常に緩徐でありin vitro実験につなげることは不可能と判断した。一方でHBdSMCに関しては、Vascular Cell Basal Mediumに内分泌ホルモン、アミノ酸、抗生剤等を添加することにより安定した細胞増殖を得ることができた。 そこでin vitroにて(a)コントロール群、(b) Mitomycin C処理群、(c)Tadalafil投与群、(d)併用群の4群を繰り返し作成し、回収した細胞をソノポレーションし、細胞内容液を冷凍ストックした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
In vitro実験を行うためには、十分に培養細胞を増殖させる必要がり、安定した培養系を確立するのに時間を要した。適切なメディウム選択および添加薬剤(内分泌ホルモン、アミノ酸、抗生剤)により、HBdSMCに関しては癌細胞株と同等の細胞増殖を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は冷凍ストックしている細胞内容液を用いて、Tadalafilによる酸化ストレスマーカーの変化(スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の誘導、過酸化水素を不均化するカタラーゼの減少、還元型GSHの低下、酸化ストレスによる脂質分解産物であるマロンジアルデヒド(MDA)低下)を確認する。さらにウス間質性膀胱炎モデルに対して、Tadalafil 20μg(肺高血圧症に対する体重換算ヒト投与量と同等)を連日腹腔内投与し、(a)コントロール群、(b) Mitomycin C処理群、(c)Tadalafil投与群、(d)併用群の4群における病理組織学的な間質性膀胱炎の評価を行う。 これらin vitroおよびin vivo実験はともに、癌細胞を用いた同所性モデルで同様の手技を行っており、本年度予定通りのスケジュールに追いつくことが可能と考えている。
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