研究課題/領域番号 |
21K09419
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 朗 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (70464302)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | Stomatin(ストマチン) / EphA3/7 / EphrinA-5 / 遺伝子発現制御 / 前立腺がん / がん微小環境 / 細胞間相互作用 / ERK / Stomatin / EPHA3 / EphrinA5 / NCAM2 / 遺伝子発現 / 抗腫瘍作用 / ストマチン / アポトーシス / 腫瘍抑制 / PDPK1-Aktシグナル |
研究開始時の研究の概要 |
がん細胞が周囲の間質細胞と接触すると、どのようにがん細胞の振舞いが変化するのかという点は未知のままである。私共は、がん細胞と間質細胞を共培養して実験的にがん微小環境を再現した条件下で、がん細胞で発現が増加する遺伝子として細胞膜裏打タンパク質をコードするストマチンを同定した。これまでの私共の研究から、ストマチンはがん細胞にアポトーシスを誘導して強い抗腫瘍活性を発揮することが判明した。本研究は、間質細胞との接触で前立腺がん細胞側に誘導されるストマチンの発現制御機構とストマチンがもつ抗腫瘍作用の分子機構の詳細をin vitroとin vivoの実験系を活用して解明することを目的に行われる。
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研究実績の概要 |
前立腺がん細胞が周囲の間質細胞と接触すると、どのようにがん細胞の振舞いが変化するのかという点に着目し、間質細胞との細胞間接触によってがん細胞で発現が増加する遺伝子として、抗腫瘍作用を有する細胞膜裏打タンパク質Stomatin(ストマチン)を同定した (Cancer Res., 2021)。本研究の目的は、ストマチンの抗腫瘍作用の分子機構ならびにその発現制御機構、さらに、ヒト前立腺がん組織でのストマチン発現の病理学的意義を検討することである。 ストマチンの発現制御機構に関して、昨年度までにin silico解析とその後の分子生物学的解析から、前立腺がん細胞に特異的に高発現しているephrin-Ephシグナルのリガンドephrin-A5とその受容体EphA3及びEphA7によるがん細胞間で伝達されているシグナルが、ストマチンの発現を負に制御していることが明らかになった。さらに、間質細胞との混合培養では、前立腺がん細胞間で伝達されているephrin-Ephシグナルを間質細胞が物理的に阻害することで、ストマチンの発現が上昇することが判明した。本年度は、さらに生化学的解析を行い、前立腺がん細胞内では、活性化されたEphAシグナルが、ストマチンの発現に必要な細胞外シグナル伝達調節キナーゼ(ERK)シグナルを抑制すること、一方で、薬理学的にERKを活性化させるとストマチンの発現は上昇することが明らかになった。さらに、活性化ERKの下流のEtsファミリー転写因子ELK1とELK4が、ストマチンの発現を促進していることも見出した。以上のことから、前立腺がん細胞におけるEphAシグナルの活性化が、ストマチン発現を正に制御するERK-ELKシグナルを抑制することで、前立腺がん細胞ではストマチンの発現が抑制されていることが明らかになった。
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