研究課題/領域番号 |
21K09422
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
清水 龍太郎 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (60813665)
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研究分担者 |
久郷 裕之 鳥取大学, 医学部, 教授 (40225131)
武中 篤 鳥取大学, 医学部, 教授 (50368669)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 膀胱癌 / 染色体 / PPARγ / PTEN / 分子サブタイプ / 染色体工学 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、多くのがん種で、ドライバー遺伝子が同定され、新規標的治療や個別化治療が進んでいる。一方、膀胱がんは治療標的やバイオマーカーとして有効性が証明された候補遺伝子が同定されていないため、治療選択肢が少なく、個別化治療も遅れているのが現状である。 本研究では、この課題に着目し、独自の染色体工学技術を用いた染色体導入法(微小核細胞融合法)と次世代シークエンサーを用いた網羅的遺伝子発現動態解析を組み合わせたアプローチを通して、膀胱がんにおいてそ の発生と進展に重要な新規のがん抑制制御因子を同定し、その機能解析により、早期診断法や分子標的治療薬の開発に向けた学術的基盤の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
我々は過去に、細胞株間での染色体の移動を可能にする、微小核細胞融合法(MMCT)と遺伝子プロファイリング解析によりpaired-like homeodomain 1を新規腫瘍 抑制遺伝子として同定した実績がある(Qi DL. Mol Cell Biol. 2011.)。膀胱がんは、大まかにはluminal typeとbasal typeの2つの分子サブタイプがあり、それ ぞれ乳頭状腫瘍と結節状腫瘍を形成する傾向がある。いずれのサブタイプも発生初期に認められる共通のイベントとして、高頻度なヒト9番染色体長腕(9q)の loss of heterozygosity(LOH)が報告されている。このことより、9q上には膀胱がん発生過程に関与する重要な遺伝子(群)の存在が示唆されているが、9q領域に膀胱がんに関わる主要ながん遺伝子・がん抑制遺伝子は明らかにされていない。これまでに我々は、Basal type膀胱がん細胞株(SCaBER)に微小核細胞融合法(MMCT)を用いて、9qを導入したクローン(SCaBER#9q)を獲得した。また、コントロールとして4番染色体を導入したクローン(SCaBER#4)を獲得した。親株、SCaBER#4と比較して、SCaBER#9qで細胞の巨大化と扁平化、増殖能、遊走能の低下が認められた。SCaBER#9q細胞において、qRT-PCRでluminal typeの遺伝子マーカー(FOXA1、GATA3、PPARG)の発現レベルが上昇していた。 今年度においては、Western blotting解析を行い、PPARGにコードされる膜受容体タンパクであるPPARγの発現が有意に上昇していた(3.0~4.4倍)。また、PPARγが制御するがん抑制遺伝子タンパクであるPTENの上昇も確認した(1.5~1.7倍)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SCaBER#9qにPPARγアンタゴニストを投薬し、形質変化が親株に近づくかどうかの検討を行っているが、薬剤自体に毒性があり、正確な結果が得られなかった。今後の発展のアプローチ法を変更し臨床検体で、RNA-seq解析を行い、PPARγの発現と予後や治療反応性との関係を解析するため、臨床検体を収集中である。
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今後の研究の推進方策 |
経尿道的膀胱腫瘍摘除術での残余検体を収集し凍結保存しており、現在50例程度収集している。80例程度収集したところで、RNA-seq解析を行う予定である。膀胱癌凍結検体のRNA-seqを行い遺伝子発現レベルを網羅的に解析し、PPARγや分子サブタイプと無増悪生存率、全生存率、薬剤感受性などとの関連性を評価する。
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