研究課題/領域番号 |
21K09436
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
本郷 周 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 訪問研究員 (10626675)
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研究分担者 |
小坂 威雄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30445407)
安水 洋太 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (40464854)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 去勢抵抗性前立腺癌 / DNA損傷応答 / DNA修復経路 / タキサン系抗癌剤耐性 / DN修復経路 / 抗癌剤耐性 / 次世代シーケンサー |
研究開始時の研究の概要 |
去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に対する有効な治療は少なく、新規抗癌剤カバジタキセル等も近年使用され始めているが、その生命予後延長効果は数か月程度である。DNA損傷応答関連遺伝子は種々の癌で発がんならびに難治性との関連を認め、PARP阻害剤が前立腺癌の新規治療薬として注目されているが、欧米における実臨床では既に耐性化が問題となっている。本研究では、抗癌剤耐性前立腺癌細胞株においてクロマチン不安定性を認めることに着目し、前立腺癌臨床検体のシングルセル解析からDNA損傷応答との合成致死を利用した新規治療戦略を追求することを目的としている。
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研究実績の概要 |
去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に対する有効な治療は少なく、新規抗癌剤カバジタキセル等も近年使用され始めているが、その生命予後延長効果は数か月程度である。DNA損傷応答関連遺伝子は種々の癌で発がんならびに難治性との関連を認め、PARP阻害剤が前立腺癌の新規治療薬として注目されているが、欧米における実臨床では既に耐性化が問題となっている。本研究では、抗癌剤耐性前立腺癌細胞株においてクロマチン不安定性を認めることに着目し、前立腺癌臨床検体の解析からDNA損傷応答との合成致死を利用した新規治療戦略を追求することを目的とした。昨年はカバジタキセル耐性前立腺癌モデル細胞株細胞の遺伝子発現プロファイルをゲルビーズ法を用いたシングルセルRNAシーケンシングで解析した。その結果DNA修復経路のリモデリングが同定され、カバジタキセル耐性との関与が示唆された。さらに申請者は当施設で確立したバイオインフォマティクスによる独自の薬剤スクリーニング手法を応用し、カバジタキセル耐性CRPC細胞株DU145CR,PC3CRのマイクロアレイデータを用いて、in silicoにて化合物スクリーニング(Connectivity map analysis)を行った。その結果、3種の薬剤において抗癌剤耐性前立腺癌の遺伝子プロファイルを、抗癌剤感受性の遺伝子プロファイルへ再プログラム化する作用を持つことを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カバジタキセル耐性CRPCは極めて予後不良であり、新規治療戦略の確立は喫緊の課題である。一方でカバジタキセル耐性獲得メカニズムは未解明であり、CBZ耐性モデル細胞株も報告がない。申請者らは、転移性CRPC細胞株DU145, PC3へカバジタキセルを投与し続けることにより、カバジタキセル耐性CRPCモデルDU145CR, PC3CRを樹立した。CBZ耐性CRPCモデル細胞株は世界でも報告がなく、当教室独自のモデルである。カバジタキセル耐性前立腺癌モデル細胞株細胞の遺伝子発現プロファイルをゲルビーズ法を用いたシングルセルRNAシーケンシングで解析した結果、DNA修復経路のリモデリングが同定され、カバジタキセル耐性との関与が示唆された。今回申請者は当施設で確立したバイオインフォマティクスによる独自の薬剤スクリーニング手法を応用し、カバジタキセル耐性CRPC細胞株DU145CR,PC3CRのマイクロアレイデータを用いて、in silicoにて化合物スクリーニング(Connectivity map analysis)を行った。その結果、3種の薬剤において抗癌剤耐性前立腺癌の遺伝子プロファイルを、抗癌剤感受性の遺伝子プロファイルへ再プログラム化する作用を持つことを見出した。さらにin vitro, in vivoでスクリーニングを行った結果、カバジタキセル耐性克服候補役NT-003はカバジタキセル耐性モデル細胞株に抗腫瘍効果を有していた。
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今後の研究の推進方策 |
DDR関連遺伝子は難治性前立腺癌の治療標的となりうると考えられたが、本邦で前立腺癌へ承認された薬剤はなく、PARP阻害剤オラパリブが前立腺癌治療薬として海外承認されたが、欧米では既に耐性化が問題となっている。今回申請者はカバジタキセル耐性前立腺癌モデルの遺伝子発現データを使用し、in silicoにてカバジタキセル耐性克服候補薬剤をスクリーニング・同定した。NT-003はカバジタキセル耐性克服薬剤として有望であると考えられたが、前立腺癌は不均一性が高く、治療奏効のバイオ―マーカーの同定が不可欠である。今後はin vitro, in vivoによるNT-003の機能解析を行い、NT-003の治療標的を探索する。
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