研究課題/領域番号 |
21K09452
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
金子 政時 宮崎大学, 医学部, 教授 (40264387)
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研究分担者 |
藤井 良宜 宮崎大学, 教育学部, 教授 (10218985)
森下 和広 宮崎大学, フロンティア科学総合研究センター, 特別教授 (80260321)
中畑 新吾 鹿児島大学, 医歯学域ヒトレトロウイルス学系, 教授 (80437938)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | サイトメガロウイルス / CMV IgG avidity / 先天性サイトメガロウイルス感染症 / 妊婦スクリーニング / ELISPOTアッセイ / COVID-19 |
研究開始時の研究の概要 |
我々が開発したIgG AIレベルを予測する数理モデルの予測精度を前方視的に検証し、精度の向上を図るために、宮崎県で管理された妊婦を対象としたコホート研究を行う。 さらに母体血INF-γ測定が羊水穿刺に替わる胎内サイトメガロウイルス感染の診断法として臨床応用可能かを明らかにするため、妊婦の末梢血単核細胞から分泌されたINF-γをELISPOT法でスポットを形成し、そのスポットのサイズや発色強度を画像解析機器を使用してINF-γを測定する。 以上の検討から、数理モデルおよびELISPOTアッセイによるINF-γ測定を組み入れた胎内サイトメガロウイルス感染の診断までの新たなアルゴリズムを作成する。
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研究実績の概要 |
サイトメガロウイルス(CMV)感染に対する母体血清抗体スクリーニングは、胎内感染を予防・治療する方法が確立していないため、推奨されていない。また、CMV母体初感染が疑われても、羊水穿刺という侵襲的な方法でしか、妊娠中に胎内感染を診断することができない。そこで、ELISPT(enzyme-linked immunosorbent spot) assayを用いた細胞性免疫の働きをみることによるCMVの垂直感染診断の可能性について検討した。その結果、胎内感染児の母体において、IgG avidity index(液性免疫の働きをみる)は、妊娠経過と伴に上昇したが、ELSIPOT assayによるINF-γのスポット数(細胞性免疫の働きをみる)には殆ど変化がなかった。即ち、液性免疫の反応と細胞性免疫の反応に違いが観察された。この反応を違いをみることで、胎内感染を診断できる可能性を示した。この結果をJorunal of Infection and Chemotherapy 2023, 29, 1071-1074で報告した。 さらに、コロナパンデミックが始まった当初は、CMV IgM陽性を示す妊婦の数が激減したが、第7波、第8波の頃には、多くの妊婦もCOVID-19に感染し、それを契機にCMV IgM陽性妊婦の数が著増した。そこで、COVID-19感染とCMV IgMとの関連を検討したところ、COVID-19感染既往のある妊婦のCMV IgM値は、感染歴のない妊婦と比較して有意に高値で、しかも偽陽性を示す妊婦が多いことが判った。この結果は、今後、CMV IgM値を解釈するうえで、極めて重要になると考えられる。この結果をClinical and Experimental Obstetrics & Gynecology. 2023, 50(12) 279で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
母体初感染を妊婦スクリーニングでみつける非侵襲的な方法を確立するために、CMV IgM陽性妊婦を本研究にリクルートすることを行っている。現在、250名の妊婦の登録を終了し、IgG avidity indexの測定、ELISPOT assayを終了した。この中で、垂直感染を起こした母体の、妊娠経過中のIgG avidity indexの推移およびELSIPOT assayによるINF-γのスポット数の推移を観察することができた。この結果から、本研究の目的の一部を達成したと考えている。また、COVID-19感染既往のある妊婦のCMV IgM値の解釈には、注意を要することが判った。この結果は、今後の研究結果の解釈にも影響することが考えられる。副次的な結果であるが、重要な結果を得られたと考えている。最終年度に向けて、さらにボランティア数を増やして、サイトメガロウイルス感染症の胎内感染の非侵襲的な診断法を確立するための検討を行うことができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究の進捗状況は概ね順調であるが、さらに6ヶ月間でボランティア妊婦の数を増やすために週2回のボランティアからの採血の機会とELISPOT assayを行っていく。また、全新生児を対象とした新生児尿を使用したサイトメガロウイルス(CMV)胎内感染児のスクリーニングを利用して胎内感染児をみつけ、胎内感染例の母体からの検体収集を行う予定である。 結果の解釈に際しては、共同研究者である藤井の協力を得ながら、効率的に分析を行う予定である。
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