研究課題/領域番号 |
21K09465
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
|
研究機関 | 東京都立墨東病院(臨床研究支援室臨床研究部) |
研究代表者 |
松本 陽子 東京都立墨東病院(臨床研究支援室臨床研究部), 産婦人科, 非常勤医師 (10466758)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | DDS / リピッドバブル / 婦人科がん / 子宮頸癌 / ドラッグデリバリーシステム / US-DDS |
研究開始時の研究の概要 |
抗がん剤の点滴と同時にLBを投与し、超音波を診断用の条件で照射することにより抗がん剤の腫瘍部での漏出を増加させ治療効果を増強させる治療技術を確立し、放射線同時化学療法を含めその応用可能な範囲を広げるのが本研究の狙いである。BUS-DDSにより、全身投与量を減らし、腫瘍でのみ透過性を上げることは、治療成績のみならず患者のQOL向上にも直結し、医療経済の観点からもその意義は大きいと期待される。
|
研究実績の概要 |
婦人科がん、特に超音波装置によって病変部を描出可能な子宮頸癌、子宮体癌に対する新たな治療戦略の開発として本研究は子宮頸癌および子宮体癌の細胞株をマウスに皮下移植したモデルを用いて研究を行った。子宮頸癌においては、BUS-DDS技術を抗がん剤に併用した場合、これまで判明していたCDDPの抗腫瘍効果増強だけでなく、DDS薬であるPEG化リポソーマルドキソルビシン(PLD)でも同様に抗腫瘍効果の増強を示すことがわかった。この抗腫瘍効果増強は、10分の1の濃度でもBUS-DDSを併用すれば同等の効果に匹敵するほどであった。 また、BUS-DDSの副作用についても検証を行った。抗腫瘍効果増強が、抗がん剤の代表的な副作用である骨髄抑制を増加させないかについて、マウスの血液検査を行って調べたところ、骨髄抑制増強を認めなかった。さらに、超音波が当たり抗がん剤が多く作用する可能性がある局所(小腸、直腸、卵巣)での組織障害の有無を組織学的に検討したところ、明らかな組織障害を認めなかった。ここまでの研究成果は論文で発表した。Yamaguchi, K. Matsumoto, Y., et al., Enhanced antitumor activity of combined lipid bubble ultrasound and anticancer drugs in gynecological cervical cancers. Cancer Sci, 2021
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に、in vivoで実際にBUS-DDSが抗がん剤の効果を10倍量の投与と同等に高めることを示した。 進行子宮頸がんに対する放射線同時化学療法では、通常の化学療法に比べて投与する抗がん剤が少ないが、BUS-DDSなら少量の抗がん剤でも放射線治療の増感剤として以上に抗腫瘍効果を高められる可能性がある。当初、初年度より放射線同時化学療法に対するBUS-DDSのin vivo実験を進める予定としていた。 しかし、初年度にこれまでの成果を論文にまとめた際、血管透過性向上による抗腫瘍効果という本技術の理論を実証することを優先するべきだと判断した。そこで、生体内共焦点顕微鏡でのビデオレート撮影を用いて実際に超音波照射により薬剤が腫瘍組織に取り込まれる様子を検証することにした。まずは蛍光色素でもある抗がん剤のPEG化リポソーマルドキソルビシン(PLD)が腫瘍内に蓄積する量が、BUS-DDS下投与では通常の投与にくらべて格段に増加していることを示し、BUS-DDS技術の理論を実証する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度はまず、PEG化リポソーマルドキソルビシン(PLD)を用いて生体内共焦点顕微鏡でのビデオレート撮影を行い、実際に超音波照射により薬剤が腫瘍組織に取り込まれる様子を検証する。次に、本課題の目標でもある、進行子宮頸がんに対する放射線同時化学療法へのBUS-DDSの応用と、子宮体部原発で癌腫以外の重要な悪性腫瘍である子宮肉腫を治療標的とした研究について進める予定である。
|