研究課題/領域番号 |
21K09495
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
佐藤 俊 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10534604)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 子宮筋腫 / MED12変異 / 異種移植モデル / 選択的プロゲステロン受容体調整剤 / 選択的プロゲステロン受容体調節剤 |
研究開始時の研究の概要 |
現在,本邦では,子宮筋腫治療薬として選択的プロゲステロン受容体調節剤;ウリプリスタル (UPA)の認可が待たれるが,実用されている欧米ではUPA の効果が患者により異なるとの報告がある。子宮筋腫はMED12変異の有無で2つのサブタイプに分類されるが,これらは平滑筋細胞(SMC)と線維芽細胞(FB)の構成比が異なる。SMC と FB は性ホルモンの感受性が異なるのでUPA の作用は筋腫サブタイプにより異なると予想され,UPA 効果の個人差に筋腫サブタイプが関連する可能性が考えられる。そこで,本研究では子宮筋腫細胞をマウスに移植する系により筋腫サブタイプにおける UPA の効果の差異を検討する。
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研究実績の概要 |
子宮筋腫は良性腫瘍だが罹患率が高く,根治には子宮摘出等の外科的処置が必要なため看過できない。子宮温存に有効な薬剤には選択的プロゲステロン(P)受容体調整剤のウリプリスタル酢酸(UPA)があるが,実用化されている欧米ではその効果に個人差が報告されている。子宮筋腫はドライバー変異である MED12変異の有無により2つのサブタイプ(変異を有する MED12(+)筋腫と有しない MED12(-)筋腫)に分類される。最近,これらの筋腫サブタイプ間では腫瘤を構成する平滑筋細胞(SMC)と線維芽細胞(FB)の比率が異なることが判明した。また,SMC と FB は性ホルモンの感受性が異なるため,筋腫サブタイプでは UPA の効果が異なると予想される。これらのことから UPA 効果の個人差に患者が有する筋腫サブタイプの差異が関わる可能性が考えられた。そこで,本研究では異種移植モデルを用いてサブタイプの違いによる UPA 効果の差異について検討する。 令和3年度はⅠ)異種移植モデルによる MED12(+)筋腫・MED12(-)筋腫における UPA の作用機序の解析において,子宮筋腫細胞を重度免疫不全マウスの腎被膜下に移植し,エストロゲン(E)・P投与により移植細胞の増殖を促し,腫瘤を形成させる異種移植モデルを確立した。令和4年度は確立した異種移植モデルを用いて UPA 投与による効果を組織学的に検証した。その結果,MED12(+)筋腫においては全検体で,UPA 添加により腫瘤体積が減少し,膠原線維が増加し,SMC 比が低下した。一方,MED12(-)筋腫においては7割の検体では MED12(+)筋腫と同傾向であったが,残り3割の検体では E・P の感受性が低く,UPA の影響がみられなかった。現在,UPA の作用機序の解明のために RNA-seq によるトランスクリプトーム解析を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ⅰ)異種移植モデルによる MED12(+)筋腫・MED12(-)筋腫における UPA の作用機序の解析:子宮筋腫における性ホルモン感受性の研究において,現在唯一の有効な実験系である異種移植モデルを確立して,UPA の作用機序の解明を試みる。MED12変異の有無を判定した子宮筋腫を初代培養し,凝集した細胞塊を重度免疫不全マウスの腎被膜下に移植した。移植期間は8週間とし,移植細胞の増殖促進のためE・P デポーを週 1回投与した。この方法により移植細胞由来の腫瘤が E・P 依存的に増大する異種移植モデルを確立した。UPA 効果の検証のため,4週間の E・P 投与で腫瘤を増大させた後,4週目以降 E・P を継続投与する群,E・P の投与を止める群,P の投与のみを止める群,E・P と UPA を同時に投与する群に分けた。移植8週で移植腎臓を回収し,腫瘤体積,組織形態,SMC 比率および膠原線維比を調べた。令和4年度までに,予定した MED12(+)・MED12(-)筋腫それぞれ10検体以上について解析が終了している。また,UPA の作用機序を推察するため RNA-seq によるトランスクリプトーム解析も実施しており,MED12(-)筋腫をもう1検体解析すれば当初の予定に達する状況にある。 Ⅱ)分離培養した SMC および FB それぞれにおける UPA の作用機序の解析:子宮筋腫の初代培養細胞は,培養3日目に計測したところ,MED12(+)・MED12(-)筋腫ともそのほとんど(80%以上)が SMC であることが判明し,分離せずとも SMC 集団として扱えると考えられた。しかしながら,初代培養細胞は平面培養では性ホルモン感受性が維持されず,UPA の作用機序の解析には使用できなかった。そこで現在,三次元培養であるスフェロイド培養で性ホルモン感受性が維持できるかを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
Ⅰ)異種移植モデルによる MED12(+)筋腫・MED12(-)筋腫における UPA の作用機序の解析: UPA 投与の効果における組織学的解析は既に予定した MED12(+)筋腫・MED12(-)筋腫それぞれ10検体以上の解析を終え,結果を得ている。UPA の作用機序を推察するためのトランスクリプトーム解析は,UPA 投与により組織学的に典型的な反応が観られた各3検体ずつについて解析を行う予定であるが,既に MED12(+)筋腫で3検体・MED12(-)筋腫で2検体の RNA-seq データを取得している。MED12(-)筋腫についてもう1検体の RNA-seq データを得たのち,それらのデータを基にパスウェイ解析等を行うことで,UPA 投与による筋腫サブタイプ間で共通した効果および異なる効果のそれぞれを説明し得る採用機序を推察し,検証する。 Ⅱ)分離培養した SMC および FB それぞれにおける UPA の作用機序の解析:子宮筋腫の初代培養については,平面培養において少なくとも培養7日目までは E・P の受容体が維持されていることを確認したが,E・P 感受性がないという問題は受容体の有無にかかわらず解消されなかった。そこで,in vivo をより反映したスフェロイド培養による三次元培養を検討する。上記を検討しても E・P 感受性を維持した培養系が再現されない場合には,異種移植モデルによる解析に絞って研究をまとめる。
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