研究課題/領域番号 |
21K09498
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
太田 邦明 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 博士研究員 (90424142)
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研究分担者 |
高橋 俊文 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20302292)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | プレコンセプションケア / ビタミンD / 葉酸 / ホモシステイン / 卵巣機能 / 不妊症 / 細胞性免疫 / 不育症 / 栄養 |
研究開始時の研究の概要 |
メチオニン代謝異常による高HCY状態に着目し、子宮内膜における高HCY状態の改善を標的とした不妊・不育症の治療法に関する研究はこれまで行われていない。本研究は、栄養環境の状態と妊孕性向上の分子メカニズムに関する解析が中心となる。また高HCY血症の是正が新しい不妊症・不育症治療となる可能性から、血中HCY値をバイオマーカーとした不妊症・不育症治療の個別化医療につながる可能性がある。
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研究実績の概要 |
2029人のプレコンセプション期女性の血中ビタミンD濃度とTh1/Th2比および卵巣機 能の解析では、対象女性(94%)のほとんどで、ビタミンD値が十分でない(<30ng/mL)ことが示され、そのうちの57%がビタミンD欠乏症(<20 ng/mL)であった。さらに卵巣機能ならびにTh1/Th2比と血中ビタミンD濃度との関連性は認められなかった。また、ビタミンDは紫外線により合成されるため季節変動性を認めることから、各季節ごとのビタミンDを測定したところ、測定地(緯度36度)では冬が有意に低いことが判明し、卵巣機能やTh1/Th2比の関連性は認めなかった。本研究は日本人若年女性のビタミンD濃度を測定した研究としてはもっとも大規模であり、そこから若い女性の栄養不足が判明し、今後ビタミンDなどのプレコンセプションケアの認知・実践が期待される結果となることが評価され、論文が受理された(Ota K et al. Nutrients. 2023 Dec 9;15(24):5059.)。また、葉酸研究も大幅に進めることができた。1030人の不妊症と診断を受けた女性を対象にした研究では、葉酸のモニタリングマーカーとしてホモシステインを用いて、全例に施行したところ、 体外受精治療をした場合に、高ホモシステイン血症が低受精率と関連することが判明した。また高ホモシステイン血症(8.0nmol/mL以上)に対して葉酸サプリメントを介入したところ血中ホモシステイン値の改善率を約25%認め(p=0.003)、葉酸サプリメント介入において流産予防効果を認めることができた(p<0.05)。本研究も論文として受理された(Ogawa S, Ota K et al. Nutrients 2023, 15(17), 3730)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究代表者の異動により、当初の計画とは異なっているがプレコンセプションケアとしての研究目的は申請時と同様であり、なおかつ本研究によりハイインパクトの論文に2本が受理された。また、現在は、男性因子の方への葉酸サプリメント介入が体外受精の成績に影響を及ぼすのか?をクリニカルクエッションとして、前向きコホート研究として新規アプローチも行っており、現在のところ、目標症例数に達したため、臨床成績の結果待ちであり本年度内の投稿から受理まで十分予測される。
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今後の研究の推進方策 |
男性因子の方への葉酸サプリメント介入が体外受精の成績に影響を及ぼすのか?をクリニカルクエッションとして、前向きコホート研究として新規アプローチも行っており、現在のところ、目標症例数に達したため、臨床成績の結果が本年度前半には解析が可能となるため、本年度後半での論文作成ならびに投稿で、今年度中の論文受理を目指すこととしている。本科研費で際立った成果として三本のハイインパクトジャーナルのアクセプトは本研究の成果として予想以上と考えている。
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