研究課題
基盤研究(C)
CT45は2005年に報告された新しい癌精巣抗原であり、詳細については今のところ不明である。本来、がんに対する免疫療法の標的と期待される癌精巣抗原であるが、子宮体がん検体において、このCT45と同時に免疫抑制誘導分子を発現している分画を認め、これにより抗原特異的な免疫抑制が誘導され、治療抵抗性を獲得している可能性がある。そこで我々は子宮体がんにおけるCT45について詳細に解析し、その機能および役割を明らかにすることで、効果的な治療の実用化に繋げることを目指す。
ヒト子宮体がんにおける癌・精巣抗原CT45の機能及び役割を解明する目的に、本年度は以下の研究を遂行して結果を得た。1)九州大学における臨床研究(観察)の承認を取得し、子宮体がん患者の検体の解析を開始した。手術症例の80検体について病理診断により組織型、進行期を分類し、組織をシングルセルにして、フローサイトメトリーによりCT45、PD-L1の発現解析、また三次元培養による機能解析、シングルセル解析のための準備をした。子宮体がんの病期進行に相関してCT45陽性かつPD-L1陽性の分画が増加していることがわかった。2)患者血液からHLA判定をし、作製したMHC class II tetramer2種, MHC class I pentamer1種を用いて、CT45に特異性を持つT細胞の存在を解析した。合わせてPD-1等免疫制御性を有する分子との関連を調べた。進行したがん組織中には、PD-1、CTLA-4, Foxp3陽性の抑制性を持つT細胞が多く確認され、またその中にCT45に特異的なT細胞が存在することがわかった。3)オープンアクセスのThe Cancer Genome Atlas(TCGA)における子宮体がんデータについて、CT45遺伝子およびタンパクの発現と、病期の進行度、生存曲線、遺伝子変異、他の遺伝子との相関、関連するシグナル因子等の解析をした。悪性度に相関してCT45の発現が高いこと、またそれに伴うその他因子の変化を確認することができた。これにより、CT45発現と子宮体がんの進行度との相関性を解析し、臨床的意義を検討することができた。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
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