研究課題/領域番号 |
21K09541
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
濱西 潤三 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80378736)
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研究分担者 |
滝 真奈 京都大学, 医学研究科, 助教 (20898077)
吉富 啓之 京都大学, 医学研究科, 准教授 (50402920)
茶本 健司 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (50447041)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 婦人科癌 / 子宮体癌 / 卵巣癌 / 腫瘍免疫 / B細胞 / T細胞 / 婦人科腫瘍学 / B細胞性免疫 / 婦人科がん |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、婦人科癌における、がん細胞の生物学的特性と宿主免疫に注目し、B細胞性免疫とその制御機構に新たな焦点を当て、臨床検体を用いて、がん遺伝子変異・発現解析とともに免疫細胞分画解析、免疫クローン性解析などを行うことによって (1)婦人科癌における、新たな免疫ネットワークのメカニズムの解明、 (2)化学療法や免疫療法への治療効果や免疫応答への影響を評価、 (3)新規治療開発の基礎的検討をそれぞれ行う
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研究実績の概要 |
1当科および共同研究者にて標準治療を行った卵巣癌患者と子宮体癌患者の腫瘍および血液検体を用いて、オミックス解析(ゲノム、RNAシークエンス、T/B細胞レパトア解析、サイトカインアレイ、免疫細胞分画解析など)を行い、治療効果や長期予後に関連する因子を探索し、さらに、婦人科癌におけるB細胞性免疫解析として、腫瘍組織中のB細胞の分化マーカーや形質細胞およびPD-1や活性化マーカーを免疫染色により腫瘍内分布や浸潤数を評価し、治療効果や生存解析による予後との相関をみた。さらに同種同系マウス卵巣癌モデル(HM-1/B6C3F1マウス、ID8/B6マウス), およびマウス子宮体癌モデル(ECC/B6マウス)および、免疫不全マウス(NOD/SCIDマウス,NOGマウス)を用いて、化学療法投与前後の免疫状態の変化について、腫瘍組織の免疫染色やフローサイトメトリーおよび腫瘍浸潤免疫細胞(TIL)解析による免疫細胞分布の評価を行った。これらの成果は、第64回日本婦人科腫瘍学会(2022年7月16日 松江市)やJournal of Clinical Investigation-Insight誌(2022年5月12日)、書籍Personalized Treatment in Immunotherapy for Gynecologic Cancerの分担著書(Springer2022年10月26日)などに報告し、またオミックス解析(ゲノム、RNAシークエンス、T/B細胞レパトア解析、サイトカインアレイ、免疫細胞分画解析など)のうち、 リンパ球レパトア解析による婦人科腫瘍におけるB細胞性免疫の多様性の意義については、第64回日本婦人科腫瘍学会(2022年7月16日 松江市)、第63回 日本臨床細胞学会(2022年6月12日)および、Journal for ImmunoTherapy of Cancer誌(2022年7月)などで報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1当科および共同研究者にて標準治療を行った卵巣癌患者と子宮体癌患者の腫瘍および血液検体を用いて、オミックス解析(ゲノム、RNAシークエンス、T/B細胞レパトア解析、サイトカインアレイ、免疫細胞分画解析など)を行い、治療効果や長期予後に関連する因子を探索した。この際に3次元培養組織やPDX(免疫不全マウスへの異種移植)モデルによるがん細胞保存を作成し、冷凍保存した。 さらに、婦人科癌におけるB細胞性免疫解析として、腫瘍組織中のB細胞の分化マーカーや形質細胞およびPD-1や活性化マーカーを免疫染色により腫瘍内分布や浸潤数を評価し、治療効果や生存解析による予後との相関をみた。またさらに当科の卵巣癌と子宮体癌の既存のRNA発現アレイデーターアーカイブやTCGAデーターベースからB細胞に関連する予後因子について比較する準備を始めている。さらに腫瘍内に浸潤したB細胞レパトア解析を行い、治療効果や長期予後に関連するレパトア(クローン性の)変化を抽出した。
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今後の研究の推進方策 |
1婦人科癌におけるB細胞性免疫応答の臨床検体を用いた意義の解明とともに、細菌叢解析について、すでに当科で採取しているあるいはこれから採取する腟細菌叢検査のメタゲノム解析を行い、それぞれ治療効果や進行期や予後に相関する特定の細菌叢や特定の機能を持つメタボライト(代謝産物)候補遺伝子を抽出する。さらにこれらの遺伝子と前述の因子との間の相関性を確認するとともに両者を統合しより精度の高い予後マーカーの抽出を試みる。さらに担癌マウスの同種同系モデルを用いてB細胞機能阻害抗体や、B細胞のクラススイッチ調整遺伝子AIDノックアウトマウスへの同細胞株投与による抗腫瘍効果の減弱などを確認するあるいは、特定のB細胞機能に関わる遺伝子のノックアウト細胞株を作成し、同様に抗腫瘍能を検証する。最後に、摂食細菌叢の変更やマウスモデルへのPD-1経路阻害薬(抗PD-1抗体あるいは抗PD-L1抗体)併用による抗腫瘍増感作用(相乗効果)を検証し、既存の免疫治療への増感作用を評価する。
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