研究課題/領域番号 |
21K09564
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
西野 宏 自治医科大学, 医学部, 教授 (50245057)
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研究分担者 |
長友 孝文 自治医科大学, 医学部, 助教 (40741723)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | CD4 / CD25 / FoxP3 / CD152 / CD39 / Foxp3 / CD44 / がん免疫 / がん微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
手術時に切除した標本の余剰試料より、がん組織に浸潤したリンパ球を分離する。分離したリンパ球の発現する表面マーカーCD152(CTLA-4)、CD279(PD-1)、CD366(TIM-3)の発現程度を確認する。これらの表面マーカーはリンパ球の疲弊度を示すものであり、多く発現しているリンパ球は疲弊度が高いと考えられる。次にがん細胞とこれらの表面マーカーを発現するリンパ球およびその表面マーカーの抗体を用いて共培養を行う。そしてがん免疫活性を測定する。その評価方法は共培養した細胞のIFN-γ陽性細胞数のカウントおよび細胞障害により培養上清中に放出された LDH 量を測定する。
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研究実績の概要 |
手術切除検体(舌癌、喉頭癌、咽頭癌、上顎洞癌)より癌組織を採取し癌組織に浸潤したリンパ球を分離した。フローサイトを用いてリンパ球の表面抗原を確認 した。手術検体から分離したがん細胞中には一定数のCD44vrichALDH1A1rich細胞が含まれている。先行研究ではこのCD44vrichALDH1A1rich細胞ががん幹細胞様の生物学活性を示す可能性が示されている。次にこのCD44vrichALDH1A1rich細胞を多く含むがん組織微小環境のがん免疫について検討した。このがん微小環境に浸潤したリンパ球の多くががん細胞を攻撃した形跡があった。その理由は多くのリンパ球がCD39richの活性化されたリンパ球であったからである。そのリンパ球はCD4richCD25richFoxP3richの免疫抑制系のリンパ球であり、がん細胞を攻撃し疲弊したリンパ球であることがわかった。これらのリンパ球のCD152(CTLA4)の発現を確認した。するとこのグループのリンパ球にはCD152richとCD152poorの二つのグループが存在した。実際の患者に抗CD152抗体(Pembrolizumab)を投与した結果、CD152richのリンパ球浸潤の割合が高かった患者グループの中においてPembrolizumabを投与後癌組織が急速に増大し治療効果としてProgressive Disease(PD)を示した特異な患者が存在した。Pembrolizumabの効果が期待できるところであるが、逆にPDを示した特異な現象であった。癌組織中に存在するCD4richCD25richFoxP3richCD152rich細胞の意義をよく検討する必要があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
手術件数の減少により、試料採取対象症例の減少を認めた。予定した解析症例数より少ないが、以下の点まで解析が可能であた。癌組織中にはCD39richCD4richCD25richFoxP3richの免疫抑制系のリンパ球が存在し、がん細胞を攻撃し疲弊したリンパ球であることがわかった。このグループのリンパ球にはCD152richとCD152poorの二つのグループが存在した。実際の患者に抗CD152抗体(Pembrolizumab)を投与した結果、CD152richのリンパ球浸潤の割合が高かった患者グループの中においてPembrolizumabを投与後癌組織が急速に増大し治療効果としてProgressive Disease(PD)を示した特異な患者が存在した。Pembrolizumabの効果が期待できるところであるが、逆にPDを示した。癌組織中に存在するCD4richCD25richFoxP3richCD152rich細胞の意義をよく検討する必要があると考えられた。今後症例数を追加し更なる解析を進める。
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今後の研究の推進方策 |
CD39richCD4richCD25richFoxP3richCD152richの免疫抑制系のリンパ球はがん細胞を攻撃し疲弊しきったリンパ球であると想定している。このグループの実際の患者に抗CD152抗体(Pembrolizumab)を投与した結果、一部の患者にPembrolizumabを投与後に癌組織が急速に増大し治療効果としてProgressive Disease(PD)を示した特異な患者が存在した。Pembrolizumabの効果が期待できるところであるが、逆にPDを示した。癌組織中に存在するCD4richCD25richFoxP3richCD152rich細胞の意義をよく検討する必要があると考えられた。今後症例数を追加し更なる解析を進める。
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