研究課題/領域番号 |
21K09581
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
藤原 和典 鳥取大学, 医学部, 教授 (90403419)
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研究分担者 |
矢間 敬章 鳥取大学, 医学部, 講師 (30444631)
北谷 和之 摂南大学, 薬学部, 准教授 (40539235)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 頭頸部癌 / セラミド / セラミドナノリポソーム / リポソーム |
研究開始時の研究の概要 |
細胞膜のスフィンゴ脂質は,アポトーシス誘導因子として作用することが明らかとされた。申請者らは,スフィンゴ脂質の代謝過程で生成されるセラミドが,頭頸部癌に対して抗腫瘍効果を示すことを報告した。また,植物から抽出したセラミド誘導物質が頭頸部癌の発症を抑制することについても,動物実験において見出し報告した。本研究は,セラミドをより有効に生体に輸送するため開発されたセラミドリポソームが,頭頸部癌に対して,腫瘍増殖抑制効果,転移抑制効果および癌細胞遊走能抑制効果を示すか検討する。本研究の最終目的は,頭頸部癌に対するセラミドリポソームによる新規の予防・治療法の確立にある。
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研究実績の概要 |
頭頸部癌細胞株(SCC9,SCC25,FaDu,A253,Detroit532)に、セラミドナノリポソーム (CLN)を投与し、Cell Viability Assayを行い、それぞれの生細胞率測定とIC50を求めた。頭頸部癌細胞株において、時間および濃度依存的に細胞死を誘導した。BALB/c/Nudeマウスの皮下に頭頸部癌細胞株(A235)を移植し、モデルマウスを作製した。移植後13日後から、CLNを腹腔内へ隔日投与した。CLNを投与した群では、コントロール群に比べて腫瘍の縮小効果が見られるものの有意差は認めなかった。 Mixed lineage kinase-domain like (MLKL)はリン酸化するとオリゴマー化により、細胞膜に孔を形成して細胞膜の膨隆を来すが、セラミド結合によりオリゴマー化が促進されることが知られている。そのセラミド結合部位により結合しやすい合成物として開発したセラミド等価体を用いて、頭頸部癌細胞株に対してCell Viability Assayを行い、それぞれの生細胞率測定とIC50を求めた。CLNと同様に、時間および濃度依存的に細胞死を誘導し、CLNよりセラミド等価体の方が高い効果を示した。 セラミド等価体の中で、MLKLに作用しオリゴマー化の誘導効果が高い物質を同定するためHEK293t細胞にMLKLベクターをトランスフェクションし、処理後、MLKL蛋白を生成し解析した。その結果、YM-07が最もオリゴマー化が見られることがわかった。今後は細胞株(Fadu)をBALB/c/Nudeマウスの皮下に移植し、腫瘍細胞移植モデルマウスの作製を行い、セラミド等価体(YM-07)を投与し、効果の検証を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
役職変更等、研究環境の変化があり、研究の進行に若干の遅延が生じたが、新たな体制を構築し、現在研究を行っている。 CLNの供給元であるMark Keslerの死去に伴い、CLNの入手が難しくなったため、新たな試験材料の開発に時間を要した。現在、セラミド等価体を開発し、今後は本試料を用いて研究を継続することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、癌細胞を移植したマウスに、セラミド等価体を投与し、抗腫瘍効果と癌細胞の細胞死のメカニズムについて解析する。BALB/c/Nudeマウスを8週齢の時点で、肋間に頭頸部癌細胞200万細胞(FaDu)を皮下注射で移植する。生着が確認できた癌細胞モデルマウスに対し、セラミド等価体(RT-07)を投与し、腫瘍の腫瘍効果を測定し、抗腫瘍効果を確認する。その後、細胞死のメカニズムを解析するため、麻酔下に、腫瘍を摘出し、ウエスタンブロット解析などを行う。
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