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耳垢決定遺伝子ABCC11多型における耳垢の細菌叢と中耳真珠腫の発症リスク

研究課題

研究課題/領域番号 21K09589
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
研究機関順天堂大学

研究代表者

楠 威志  順天堂大学, 医学部, 教授 (30248025)

研究分担者 中川 大  中部大学, 応用生物学部, 准教授 (40397039)
豊田 優  防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 分子生体制御学, 講師 (80650340)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワードABCC11遺伝子多型 / 耳垢 / 中耳真珠腫 / 外耳道内pH環境 / 細菌叢 / 外耳道アポクリン腺 / 外耳道内pH環境 / 外耳pH
研究開始時の研究の概要

耳真珠腫の発生成因に関する研究は、「中耳~耳管における機能障害」および「中耳粘膜ガス交換障害」など、主に中耳病態が注目を集めてきた。そのため、外耳環境が中耳真珠腫リスクに与える影響は見過ごされてきたのが現状である。この点について申請者は、「耳垢」を含めた外耳環境に焦点を当て、中耳真珠腫の発生機序の解明に取り組む過程で、「中耳真珠腫の発生に耳垢が関与している可能性」を見出した。本申請課題は、これまでの研究を更に発展させるものであり、耳垢型決定遺伝子ABCC11の多型情報に基づいて分類し、耳垢のpHやそこに含まれる細菌叢の違いの観点から、中耳真珠腫の発生/進行リスクの解明を目的としている。

研究実績の概要

ABCC11遺伝子多型(538G>A)が耳垢の性状(湿性もしくは乾性)を決定することがYoshiuraら(Nat Genet,38:324‐330,2006)によって報告された。ABCC11 538AAが乾性耳垢に対応し、538GG/GAが湿性耳垢に対応する。耳垢成分は、外耳道アポクリン腺(皮脂腺と耳垢腺)の分泌物と外耳道上皮から成る。これまでに申請者らは、ABCC11遺伝子型に基づく耳垢の乾湿の違いが中耳真珠腫の発生リスクに影響を与える可能性を検討し、適宜症例を増やし、その結果、中耳真珠腫症例群では、健常者群と比べて有意に湿性耳垢の割合が高いことを見出した。また申請者らは、中耳真珠腫発症リスクと関連する外耳環境因子の一つとして、耳垢のpHに着目している。今回、ABCC11遺伝子の多型に基づいて耳垢を湿性および乾性に分別し、耳垢を懸濁させた水溶液のpHを測定したところ、湿性耳垢ではpH 5.40、乾性耳垢ではpH 5.15という結果が得られ、湿性耳垢の方が有意に中性寄りであった(p < 0.01)。さらに興味深いこととして、耳垢pHが中性寄りの程度と、中耳真珠腫病期分類の進展度と有意に相関関係がみられた。
以上の結果を糸口として、耳垢を含む外耳道内の環境に着目した申請者らは、「pHの偏り、あるいは、それに伴う真菌を含めた微生物叢の変化が中耳真珠腫発症リスクに関与するのではないか?」という仮説を設け、研究を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍はまだ完全に終息していないが、中耳真珠腫の手術件数は回復しつつあり、対象となる検体は十分増えてきている。

今後の研究の推進方策

前述の如く、申請者らは、中耳真珠腫リスクと関連する外耳環境因子のひとつとして、耳垢のpHに着目している。外耳道に棲む微生物の同定をMinamiらの方法 (Laryngoscope, 127,E371-E377,2017.) とZhangらの方法(Am J Otolaryngol. 41, 102340-102345, 2020)を参考にしてrDNAを解析が可能となった。それにより具体的には、外耳道擦過物や耳垢から細菌および真菌を選別・培養し、それぞれのゲノムDNAを抽出した後、rDNA配列の解析を行う。
予備的検討ながら、中耳・外耳炎症例において分離された真菌Malazzeziaは、湿性耳垢が存在する耳から多く検出される可能性を研究協力者が見出している。以上の報告を糸口として、耳垢を含む外耳道内の環境に着目した申請者らは、「pHの偏り、あるいは、それに伴う細菌叢の変化が中耳真珠腫発症リスクに関与するのではないか」という仮説を設け、検証を進める。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] Association Between Earwax-Determinant Genotypes and Acquired Middle Ear Cholesteatoma in a Japanese Population2021

    • 著者名/発表者名
      Hara Satoshi、Kusunoki Takeshi、Nakagawa Hiroshi、Toyoda Yu、Nojiri Shuko、Kamiya Kazusaku、Furukawa Masayuki、Takata Yusuke、Okada Hiroko、Anzai Takashi、Matsumoto Fumihiko、Ikeda Katsuhisa
    • 雑誌名

      Otolaryngology Head and Neck Surgery

      巻: - 号: 1 ページ: 139-145

    • DOI

      10.1177/01945998211000374

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 人種・民族の耳垢型決定遺伝子多型と中耳真珠腫の発症リスク~日独間におけるABCC11多型の比較~2023

    • 著者名/発表者名
      楠 威志, 原 聡, 岡田 弘子
    • 学会等名
      第124回日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 当施設における外耳道真珠腫症例の合併症・既往歴の検討2023

    • 著者名/発表者名
      岡田 弘子, 楠 威志, 高田 雄介, 安齋 崇, 原 聡, 園田 健二, 中山 拓己, 松本 文彦
    • 学会等名
      第33回日本耳科学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 人種・民族の耳垢型決定遺伝子 ABCC11多型と中耳真珠腫発症リスク2022

    • 著者名/発表者名
      楠 威志, 岡田 弘子
    • 学会等名
      第84回耳鼻咽喉科臨床学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 人種・民族の耳垢型決定遺伝子 ABCC11 多型と中耳真珠腫の発症リスク~日独間における ABCC11 多型の比較~2022

    • 著者名/発表者名
      楠 威志, 原 聡, 岡田 弘子, 神谷 和作
    • 学会等名
      第32回日本耳科学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 耳垢型決定遺伝子ABCC11と後天性中耳真珠腫の関連性2022

    • 著者名/発表者名
      原 聡, 楠 威志, 神谷 和作, 高田 雄介, 岡田 弘子, 安齋 崇, 池田 勝久, 松本 文彦
    • 学会等名
      第123回日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 人種・民族の耳垢型決定遺伝子ABCC11多型の差異と中耳真珠腫の発症リスク2021

    • 著者名/発表者名
      楠 威志, 原 聡, 岡田 弘子, 神谷 和作
    • 学会等名
      第31回 日本耳科学会総会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 外耳道真珠腫と耳垢型:ABCC11遺伝子多型についての検討2021

    • 著者名/発表者名
      岡田 弘子, 楠 威志, 原 聡, 神谷 和作, 高田 雄介, 古川 正幸, 池田 勝久
    • 学会等名
      第31回 日本耳科学会総会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 耳垢型決定遺伝子ABCC11の後天性中耳真珠腫の関連性2021

    • 著者名/発表者名
      原 聡, 楠 威志, 神谷 和作, 高田 雄介, 岡田 弘子, 池田 勝久
    • 学会等名
      第31回 日本耳科学会総会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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