研究課題/領域番号 |
21K09592
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
志賀 英明 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (80436823)
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研究分担者 |
三輪 高喜 金沢医科大学, 医学部, 教授 (20229909)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 嗅細胞再生 / オルファクトシンチグラフィ / 経鼻投与デバイス / 嗅覚障害 / 嗅覚刺激療法 / 異嗅症 / 刺激性異嗅症 / 感冒 / COVID-19 |
研究開始時の研究の概要 |
感冒など上気道炎に伴う嗅覚障害における刺激性異嗅症の発症頻度は、他の原因による嗅覚障害よりも高く、COVID-19発症者の30%に刺激性異嗅症を認めている。我々は嗅細胞機能イメージング“オルファクトシンチグラフィ”により、感冒後刺激性異嗅症の原因が嗅細胞軸索再生障害であるとの仮説を得ている。一方で、異嗅症の他覚的評価は困難で治療方法も確立していない。本研究では、嗅神経性嗅覚障害に有用とされる嗅覚刺激療法の感冒後刺激性異嗅症への治療効果をオルファクトシンチグラフィと異嗅症症状質問紙票により明らかとする。
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研究実績の概要 |
異嗅症患者を対象として「オルファクトシンチグラフィによる他覚的嗅覚検査」の特定臨床研究を継続した。外傷性嗅覚障害患者でオルファクトシンチグラフィ臨床試験参加前に嗅覚刺激療法を行い、異嗅症症状の改善を認めなかった症例について検討を行った結果、タリウム嗅球移行度の低下を認め嗅細胞の再生が嗅覚刺激療法では十分には得られない可能性が明らかとなった。以上の臨床試験の結果から、オルファクトシンチグラフィでタリウム嗅球移行度低下を伴う異嗅症症例においては、嗅細胞軸索の嗅球への投射が不十分で嗅覚刺激が嗅球に伝導しないと考えられた。さらに異嗅症患者においては嗅覚刺激療法以外の治療法が必要であることが示唆された。そのため当初計画していなかった嗅上皮傷害マウスにおける基礎研究も行った。神経成長因子を分泌する脂肪幹細胞を嗅上皮傷害マウスに経鼻投与したところ、嗅細胞の再生が促進された。また本邦で異嗅症を含めた嗅神経性嗅覚障害患者に広く用いられている、当帰芍薬散の混合飼料を与えた嗅上皮傷害マウスでは、コントロール飼料と比較して嗅覚忌避行動の回復が促進された他、嗅上皮における成熟嗅細胞の再生も促進された。 またシリンジタイプのタリウム容器に装着する経鼻投与デバイスについて、さらに検討を重ねた結果、20G留置針外筒に22Gカテラン針を挿入した形が最も安定して薬液を鼻腔内に投与可能であり、かつ注射針が留置針外筒から先端に出ないため、鼻腔内粘膜を損傷する危険性も少ないことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
医療機関においてCOVID-19の感染対策が十分取られるようになって、オルファクトシンチグラフィの特定臨床研究が安定して実施できるようになったことが、対象症例数の増加に寄与したと考えられる。また異嗅症患者の受診数も初年度と比較して増加傾向にあり、嗅覚障害患者が全般的に医療機関へ受診しやすい状況になってきたことも理由と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
嗅覚刺激療法の多施設共同研究の対象であるCOVID-19を含めた感冒後、外傷性および原因不明例の嗅覚障害の他、慢性副鼻腔炎に伴う異嗅症症例に対してもオルファクトシンチグラフィで嗅神経性障害の有無を評価する予定である。嗅覚刺激療法を補完する治療法についての基礎研究も引き続き継続の予定である。
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