研究課題/領域番号 |
21K09594
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
野津 英司 川崎医科大学, 医学部, 助教 (80388933)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 嗅球 / 電子顕微鏡 / vasopressin / synapse |
研究開始時の研究の概要 |
嗅球は匂い情報の処理、投射を行う一次中枢で、嗅球投射ニューロンの一つである房飾細胞には、vasopressinを含有する神経群(VPC)が報告されている。vasopressinは、自閉症などの精神疾患との関連が示唆されており、ラット嗅球を用いた実験では、仲間の認識に関連することが報告されている。一方で、VPCは他の房飾細胞と異なり、嗅神経の刺激による興奮が発生せず、異なる回路が存在していると考えられる。本研究はVPCの神経回路について、電子顕微鏡により形態学的な解析を行うものであり、匂い情報と精神的機能との関連についての解剖学的な知見を得ることが期待出来る。
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研究実績の概要 |
本研究では免疫染色で標識したvasopressin neuronを電子顕微鏡で観察することで嗅球での神経間の接続を解析するものである。そのため、免疫染色と電子顕微鏡観察の二種類の手法でのvasopressin neuronの形態を解析する必要がある。免疫染色では、嗅球vaopressin neuronの染色条件の検討を進め、抗体によるvasopressin neuronの標識に加え、チラミドを用いた増感法を用いることで、糸球体に伸びる樹状突起を可視化することが可能となり、他の嗅球ニューロンとの多重染色を進めている。 先行研究から、vasopressin neuronが嗅球内で抑制性の入力を受けていることが考えられることから、嗅球での抑制性の介在ニューロンとの接触について解析を進めている。具体的には、嗅球糸球体周囲に存在する主要な介在ニューロン群である房糸球体細胞のマーカを用いて染色を行った。そのなかで、房糸球体細胞の中で多数を占める主要なサブポピュレーションであるカルレチニン免疫陽性細胞をその候補としてシナプスの解析を行った。その結果、カルレチニン免疫陽性細胞が形成する明瞭なシナプスは確認できず、vasopressin neuronへの抑制性の入力を行う候補としての可能性は低いことが示された。一方で、電子顕微鏡でのvasopressin neuronの解析は、免疫染色の条件と電子顕微鏡標本の作製を両立する条件の設定が難しく、これまで進んでいなかったが、条件の検討を進めた結果、通常の電子顕微鏡観察で用いるグルタルアルデヒドを用いない条件で免疫染色と完全ではないが電子顕微鏡での観察の両方を行うことが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画していた免疫染色でのvasopressin neuronの標識について予定通りに進まず、条件の検討に時間がかかっている。主な問題点としては、免疫染色でのvasopressin neuron細胞の細胞体の染色強度が特に低く、嗅球内のvasopressin neuronの線維が嗅球に存在するものに由来するのか、他の領域から投射されたものかの判別が困難であり、研究に遅れが生じている。また、免疫染色と電子顕微鏡観察を同一の標本で行う必要があるため、免疫染色での低い染色性と、特に強い固定法を必要とする電子顕微鏡観察条件の調整に時間がかかったために遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに検討した染色条件での実験を進め、当初主要な目的としていた嗅神経からvasopressin neuronへの入力の有無について電子顕微鏡での解析を進める。
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