研究課題/領域番号 |
21K09600
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
天野 彰子 山形大学, 医学部, 医員 (50787249)
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研究分担者 |
欠畑 誠治 山形大学, 医学部, 教授 (90261619)
伊藤 吏 山形大学, 医学部, 准教授 (50344809)
寺田 小百合 山形大学, 医学部, 医員 (40795697)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 聴神経 / Cochlear synaptopathy / 内耳 / 難聴 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで内耳有毛細胞が感音難聴治療のメインターゲットと認識されてきたが、近年新し くCochlear synaptopathyの概念が提唱されたことで、有毛細胞と聴神経間のシナプスこそが内耳障害治療の鍵を握る可能性が示唆された。一方で、これまでの有毛細胞や聴神経の再生研究結果から、聴神経の再生においてRho-ROCK経路が重要な役割を果たしていると考えられた。そこで本研究室では、他領域で既に臨床応用されているROCK阻害薬を用いてin vitroおよびin vivo実験系において有毛細胞-聴神経間のシナプスの再生効果を示した。本研究では更に、分子生物学的手法を用いて、その細胞内メカニズムの解明を試みる。
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研究実績の概要 |
前年度の報告通り、国内における新型コロナウイルスの流行のため、共同研究チームの有する爆風障害によるCochlear synaptopathyモデルの使用は断念し、当研究室にて音響障害によるCochlear synaptopathyモデルを作成し、本検討に用いる方針とした。 Kujawaらの研究施設であるMassachusetts Eye and Ear Infirmaryを訪問し、音響障害機器やABR等、音響性Cochlear synaptopathyモデルの作成に実際に使用された機器と実験環境を確認した。その経験を元に、音響負荷の条件に関して、音圧以外の条件はKujawaらの条件を参考にした。様々な音圧条件で検討した結果、ある一定の音圧で高音域にABRで一過性閾値上昇が起こり、閾値上昇部位に一致して障害後のABRのI波振幅の減少が認められる個体がいることが判明した。今後更にn数を増やし、検査の再現性を確認する予定である。 組織を共焦点顕微鏡を用いて観察すると、I波振幅が減少する32kHz領域における後シナプス数が、低音域と比較して減少しているように見えた。今後シナプス数の実数カウントを行い、正常コントロールと比較検討する予定である。音響障害によるCochlear synaptopathyモデルが確立した後は、ROCK阻害薬の臨床薬を正円窓ルートで投与し、治療効果を検討する予定である。
Rho-ROCK経路の分子生物学的検討としては、当初の実験デザイン通り、まずq-PCR法によりmRNAレベルの変動を確認する。Rho, ROCKの活性化様式を鑑み、その次のステップとして、ELISA法を用いて障害後蝸牛における活性化ROCKの変動を確認する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予定していた爆風障害モデルの使用が新型コロナウイルス流行を受けてできない状況にあり、音響障害によるCochlear synaptopathyモデルを当科で作成する方法に変更が生じた。更に音響障害時の適切な音圧設定と、ABRのI波振幅の再現性の確認作業、および共焦点顕微鏡によるシナプス観察手技の習得に時間を要したため、研究全体の進捗状況としては遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
音響障害によるCochlear synaptopathyモデルの確立と、ROCK阻害薬の実臨床薬での治療効果確認、Rho-ROCK経路の分子生物学的検討を行う予定である。
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