研究課題/領域番号 |
21K09601
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉川 弥生 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (00452350)
|
研究分担者 |
近藤 健二 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (40334370)
木下 淳 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10755648)
田浦 晶子 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (70515345)
藤本 千里 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60581882)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 内耳 / 前庭 / 平衡覚 / 耳石 / 骨粗鬆症 / 良性発作性頭位めまい症 / スタチン / めまい / 薬剤局所投与 / ドラッグ・デリバリー / 薬剤徐放 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では高脂血症治療薬などの新規の骨代謝治療薬を鼓室(中耳)内投与することで、耳石疾患である BPPV(良性発作性頭位眩暈症)や耳小骨・蝸牛疾患である耳硬化症の難治性サブタイプに対する新たな治療手段を獲得することを目標とする。BPPVの標準治療は頭位治療(浮遊耳石置換法)であるが、これは浮遊耳石(デブリ)が生じる病因そのものへの治療ではない。本研究が目標とする耳石硬化療法(骨代謝調整療法)は、BPPV患者の低下した骨代謝にアプローチして浮遊耳石の発生を抑えるというBPPVの根本治療となりうる治療である。
|
研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症の影響により一部研究の実施が困難であったが、連携研究者により実験を行うことができたのでその結果を述べる。 方法:血管系の構築に必要なLIM-only protein 2(LMO 2)の転写因子Lyl1を全身に過剰発現させたトランスジェニックマウスを用いて、前庭組織(卵形嚢及び球形嚢)の器官培養を行い、化学的低酸素負荷及び内耳障害薬剤への応答について野生型マウスとの比較検討を行った。低酸素負荷を再現する薬剤として鉄キレート剤であるDFX(Desferrioxamine mesylate salt)を使用し、内耳障害にはゲンタマイシン(GM)を使用した。DFX1日投与後にGMを1日投与し、その後通常培養液で培養した。培養終了後に器官を固定処理しファロイジン488で染色し感覚毛数をカウントした。次に、耳石器の培養液へのスタチン(メタバスタチン0.5μg/ml)添加の有無で耳石の安定性に差が出るかどうか実験を行った。さらにin vivoの実験も行い、卵巣摘出による閉経モデルマウス(OVX)マウスを作成し、乾燥大腿骨重量測定を行った。マウスの卵円窓へのスタチン投与(メタバスタチン0.5μg/ml 1ul)も行った。 結果:低酸素負荷モデルにおいて、DFXは前庭有毛細胞に対して濃度依存性に障害を与えるが、一部の濃度ではゲンタマイシン障害後の有毛細胞の残存数が増加しており、内耳保護的に働く可能性があることが確認できた。In vitroでのスタチン添加実験ではadultマウスの耳石器を安定的に培養することが難しく統計的に有意な差は得られなかったが、in vivoの実験系ではOVXマウスでは野生型マウスに比べ有意に体重比大腿骨重量が低くなっており(p=0.0037)、このモデルマウスが閉経モデルとして有効であることが確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、研究責任者の動物実験実施が困難な状況であった。連携研究者と議論を深めつつ学会に出席し情報収集に努めた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後はこの器官培養系をさらに改良しスタチンの耳石安定化薬剤の候補としての機能を追求するが、耳石の密度や硬度などの定量的評価についてもマイクロCTなどの手法を用いた測定法の検討を行う。また、in vivo実験系においてはスタチンを卵円窓経由で投与した場合に耳石に損傷が生じる例があったため、外側半規管経由の投与も検討していく。 研究最終年度であるため論文投稿を予定している。
|