研究課題/領域番号 |
21K09607
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
星川 広史 香川大学, 医学部, 教授 (70294767)
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研究分担者 |
寒川 泰 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (10806920)
大内 陽平 香川大学, 医学部, 協力研究員 (50795573)
森 照茂 香川大学, 医学部, 助教 (80568840)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | エクソソーム / 転移 / バイオマーカー / 頭頸部癌 |
研究開始時の研究の概要 |
癌の特徴の一つとして、遠隔部に転移すること、転移した場合には原発部分より種々の治療に対して抵抗性を示すことが知られている。そのため、予後の改善には転移の抑制が必要不可欠であること、そのためには転移を予測できるバイオマーカーの確立が必要で、かつ侵襲の少ない方法が望ましいこと、からリキッドバイオプシーのひとつであるエクソソームの解析からバイオマーカーの同定を試みることを着想した。CXCL12-CXCR4軸が癌の再発や転移に関与しているといわれており、癌細胞が放出するエクソソーム内にその存在を確認することができれば、侵襲の少ない方法で転移を予見できる診断法の確立に寄与できる可能性がある。
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研究実績の概要 |
頭頸部癌培養細胞において、Allose奏効群ではTXNIPのmRNA発現が著明に増強し、CXCR4の発現が抑制された(Allose50mM投与48時間後 HSC3:TXNIP 132倍、CXCR4 0.1倍, Ca9-22: TXNIP 289倍、CXCR4 0.71倍、Allose50mM投与12時間後 HSC3-M3:TXNIP 11倍、CXCR4 0.23倍)。Allose無効群ではAllose投与によりTXNIPのmRNA発現はやや増強したが、CXCR4の発現も増強した (HSC4: TXNIP 11倍、CXCR4 1.91倍)。 頭頸部癌においてエクソソーム中のCXCR4, CXCL12の存在を同定し、それらが癌の転移にどのように関与しているかを検証するために、①メンブレンにエクソソームを吸着させ溶出させる方法(exoEasy Maxi Kit)でCa9-22細胞のエクソソームを抽出、RNAを精製し、realtime PCRでTXNIP, CXCR4, CXCL12を検討したが、mRNAの増幅は観察されなかった。そこで、超遠心法を用いてエクソソームの抽出を依頼、結果HSC3, HSC4, KONの3種類の細胞上清から4.47E+10~1.32E+11(particles/ml)の細胞外小胞を得た。その試料を用いてexoRNAEasy Maxi Kitで total RNAを抽出した。結果、HSC4からはcontrol, Allose投与群いずれからもRNAが抽出できたが、HSC3, KONからはAllose投与群からはRNAが得られなかった。HSC4から得られたRNAからCXCR4, CXCL12の増幅を検討したが、以前のCa9-22と同様にcontrol, Allose投与群のいずれからもmRNAの増幅は観察されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
様々な抽出方法で細胞上清からエクソソームの抽出を試みたが、最も一般的な超遠心法で抽出を外部に依頼した試料からも目的としたmRNAの増幅が観察されなかった。この結果からはCXCR4-CXCL12の系がエクソソームを介して転移に関与しているとは言えない結果であった。しかしながら、エクソソームの抽出や品質について十分な検体が得られているかがいま一つ不明であるため、培養細胞そのものでのCXCR4-CXCL12の系がどのような意義を有しているかを詳細に検証する必要もあると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに引き続いて、エクソソーム抽出の安定性についての検討を行うと共に、培養細胞そのものでの転移に関するバイオマーカーを詳細に検討し、それを元にエクソソームでの検討を行う必要があると思われる。また、培養細胞では転移についての検証に限界があり、in vivoの系における原発巣、転移巣(肺など)でのCXCR4, CXCL12の発現を検討するとともに、血清からのエクソソームの抽出と分析を行う必要があると考える。
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