研究課題/領域番号 |
21K09612
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
折舘 伸彦 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (90312355)
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研究分担者 |
蓮見 壽史 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (40749876)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 唾液腺癌 / EWSR1-ATF1融合遺伝子 / 条件特異的遺伝子改変マウス / 硝子化明細胞癌 / 融合遺伝子 / トランスジェニックマウス |
研究開始時の研究の概要 |
唾液腺に生じる硝子化明細胞癌では、12番染色体と22番染色体の転座による融合遺伝子EWSR1-ATF1が93%の症例にみられると報告されており、融合遺伝子産物が異常な転写活性を有し、発癌を誘発することが予想されている。しかしながら、硝子化明細胞癌の発生におけるEWSR1-ATF1の詳細な役割に関しては未だ解明されていない。本研究では、唾液腺硝子化明細胞癌の発生においてEWSR1-ATF1がドライバー変異である蓋然性が高いと考え、EWSR1-ATF1を発現する遺伝子改変マウスを作製し、EWSR1-ATF1発現細胞における当該融合遺伝子の機能を解析することを目的とする。
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研究実績の概要 |
頭頸部領域においては、唾液腺癌で複数の融合遺伝子が報告されている。唾液腺癌は頭頸部癌のうち3-5%を占め、多彩な組織型を示すが、それぞれの組織型の症例数は限られているため、発癌過程における融合遺伝子の機能に関する研究は進んでいない。唾液腺に生じる硝子化明細胞癌では、12番染色体と22番染色体の転座による融合遺伝子EWSR1-ATF1が93%の症例にみられるとの報告があるため、融合遺伝子産物が異常な転写活性を有し発癌を誘発することが想定される。本研究課題では対象とするEWSR1-ATF1をTet-on systemを用いて全身に発現させたモデルマウスでは軟部組織に腫瘍形成が認められたYamadaらの先行研究報告があるが、 3ヶ月の観察期間では唾液腺を含め、他部位には明らかな腫瘍形成は見られなかった。 唾液腺における硝子化明細胞癌の発生に関する EWSR1-ATF1の役割を解明するには唾液腺特異的にEWSR1-ATF1を発現し、他部位では当該融合遺伝子を発現しない条件特異的遺伝子改変マウスを作製することが理想である。 Creloxpシステムによる条件特異性の賦与は、1)組織特異的プロモーターの下流にCreリコンビナーゼ遺伝子をつけた外来遺伝子(MMTV-Cre、lama-Cre)、2)高発現が期待できるプロモーター下流に2つのloxP配列に挟まれた転写停止配列、さらにその下流に目的の遺伝子をつなげた外来遺伝子(EWSR1-ATF1)を導入することによる。このシステム下では、組織特異的プロモーターが働く部位ではCreの働きでloxP配列間の転写停止配列が欠損し、その下流に位置する目的遺伝子が高発現するが、組織特異的プロモーターが作動しない部位ではCreが働かないため転写停止配列が機能して目的の遺伝子は発現しない。このシステムを用いて唾液腺特異的遺伝子改変マウスを作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
転写因子ATF1のみを唾液腺特異的に発現する唾液腺特異的ATF1発現マウスについては作成済み。 EWSR1-ATF1融合遺伝子の条件特異的遺伝子改変マウスがようやく作製できた段階であり、今後表現形質の解析に進む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
EWSR1-ATF1融合遺伝子の条件特異的遺伝子改変マウスの表現形質の解析を進めるとともに、凍結胚の確保等を進める。その上で、転写因子ATF1のみを唾液腺特異的に発現する唾液腺特異的ATF1発現マウスとEWSR1-ATF1融合遺伝子発現マウスの比較検討を行う予定である。 Tet-onシステムによる条件的EWSR1-ATF1融合遺伝子発現細胞の作成については、現時点では着手する段階にない。
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