研究課題/領域番号 |
21K09623
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
川嵜 洋平 秋田大学, 医学部附属病院, 講師 (00644072)
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研究分担者 |
鈴木 真輔 秋田大学, 医学系研究科, 准教授 (90312701)
大森 泰文 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (90323138)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | GPNMB / CD98 / HNSCC / 放射線抵抗性 / 癌幹細胞 / CD98hc / 頭頸部扁平上皮癌 |
研究開始時の研究の概要 |
頭頸部扁平上皮癌は再発転移の多い病気であり、これをいかに抑え込むかで生存率の改善につながってくる。免疫チェックポイント阻害薬の開発で生存率は大きく向上しているが未だ不十分な面はある。高悪性度の乳癌や悪性黒色腫ではGPNMBという膜タンパクの発現によって転移が引き起こされる事が明らかとなり、海外ではGPNMB阻害薬の臨床試験も開始されている。頭頸部扁平上皮癌でも発現を認める事は確認できたが、どのような働きを担っているかは不明である。頭頸部扁平上皮癌でも乳癌などと同様に重要な働きをしている事が解明されれば、GPNMBを阻害する新規治療薬の開発につなげることは社会的に大きな貢献となる。
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研究実績の概要 |
頭頸部扁平上皮癌細胞株HO-1-u-1, Sa3, HSC2, HSC4の3種類を用いてGPNMB陽性細胞とGPNMB陰性細胞にCell Sorterを用いて分離し、Sphere形成能、浸潤能、遊走能を調べた。陽性細胞は無血清半流動培地でもSphereを形成したが、陰性細胞はできなかった。また、浸潤能と遊走能においても、GPNMB陽性細胞は陰性細胞に比して亢進していた。ERK1/2阻害剤を用いる事で、GPNMB陽性細胞のSphere形成能、浸潤能、遊走能は抑制された。実際の臨床検体を用いてGPNMBを免疫染色したところ、強発現群は弱発現群と比べて有意に予後不良であった。また、GPNMB陽性の部位はSox2, Nanogといった幹細胞マーカーが陽性となり、EMTマーカーであるSnai/Slugが陽性であった。以上より、GPNMBは癌幹細胞であり上皮間葉転換によって転移を引き起こす膜タンパクであることが示唆された。上記のことは、Patholgy Oncology Resarchに受理され公開された。現在、臨床検体でCD98を染色し、予後を調べている。CD98高発現群は低発現群に比して治療抵抗性であり、予後不良のマーカーであることがわかっている。これは、以前我々が報告したCD98が癌幹細胞様の性質も持つという実験レベルの結果を裏付ける事であり、国際誌に投稿し受理された段階となった。現在は、CD98hcGPNMBダブルポジティブの細胞がGPNMB陽性細胞と比較した検討を行っているが、in vitroで検討を行っているが、大きな差は出ていない。in vivoではGPNMB陽性細胞と陰性細胞を同所移植してGPNMBの働きを検討しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CD98とGPNMBの関連はまだ不明であり、他の幹細胞マーカーと言われるCD44v9などとの関連も調査中である。また、GPNMB陽性細胞の免疫不全マウスの腫瘍形成や転移がまだ確認されていない。
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今後の研究の推進方策 |
CD98hcとGPNMBの相互関係を調べている。また、GPNMB陽性細胞と陰性細胞を免疫不全マウスに移植し、in vivoの研究を行っている。臨床検体を用いて、Trop2, DOTIL, CD44v9を用いた免疫染色も実行中である。
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