研究課題/領域番号 |
21K09625
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
花澤 豊行 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (90272327)
|
研究分担者 |
猪爪 隆史 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (80334853)
冨樫 庸介 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ 細胞治療開発研究部, 客員研究員 (80758326)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 悪性黒色腫 / 腫瘍浸潤リンパ球 / 免疫チェックポイント阻害薬 / 重粒子線治療 / 腫瘍免疫 / 免疫ゲノム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
鼻副鼻腔を原発とする粘膜型悪性黒色腫は、手術と重粒子線治療を組み合わせることで、比較的良好な局所制御率を達成しているが、依然として遠隔転移が多く予後不良であり、より有効な治療が求められている。一方、悪性黒色腫に対する免疫チェックポイント阻害薬の効果が証明されたが、重粒子線などによる抗腫瘍免疫応答への影響は未だ明らかでない。重粒子線治療を受けた臨床検体ではPD-L1陽性率は上昇し、腫瘍微小環境への影響が示唆された。貴重な臨床検体と、樹立した患者由来悪性黒色腫細胞株とペアの腫瘍浸潤リンパ球により腫瘍微小環境を再現する系を用いて、重粒子線を含む放射線治療の抗腫瘍免疫応答への影響を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
鼻副鼻腔を原発とする粘膜型悪性黒色腫は、手術と放射線治療を有効に組み合わせることで、比較的良好な局所制御率を達成しているものの、遠隔転移が多く極めて予後不良な疾患である。また、悪性黒色腫に効果があるとされる重粒子線治療単独での局所制御率は高いものの、やはり遠隔転移が多いことが課題である。そこで、遠隔転移の制御において、免疫チェックポイント阻害薬は重要な役割を果たすと考えられるが、その効果は未だ限定的で遠隔転移を如何に制御できるかは喫緊の課題である。本研究では、粘膜型悪性黒色腫に対する免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍免疫応答のメカニズムを明らかにすることが目的である。そこで、まずは鼻副鼻腔を原発とする粘膜型悪性黒色腫の免疫状態を解析するために、貴重な臨床検体を用いて、患者由来の悪性黒色腫細胞株およびオルガノイドとそのペアの腫瘍浸潤リンパ球を樹立して、腫瘍微小環境を再現する系の作製を試みた。腫瘍浸潤リンパ球の樹立には成功したものの、粘膜型悪性黒色腫細胞株の樹立に関してはさまざまな細胞が多数混在しているためやや難渋している。しかし、樹立した腫瘍浸潤リンパ球と臨床検体処理直後のTumor digestを共培養することで、IFNγが産生されていることが確認でき、Tumor digestに含まれる粘膜型悪性黒色腫細胞を樹立した腫瘍浸潤リンパ球が認識できていることが確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
希少性の高い鼻副鼻腔原発の腫瘍浸潤リンパ球の樹立に成功したため、腫瘍浸潤リンパ球の免疫学的な解析が行えた。また、症例を積み重ね、悪性黒色腫細胞株とペアの腫瘍浸潤リンパ球の樹立を継続していく事でより詳細な解析を目指す。さらに、一部シークエンスよりJAKなどのIFNγシグナルに異常がある症例が存在したが、既報では免疫療法の耐性メカニズムとされているものの、著効している症例もあり、現在そのメカニズムを解析中である。
|
今後の研究の推進方策 |
鼻副鼻腔を原発とする粘膜型悪性黒色腫は希少性が高い疾患のため、貴重な臨床検体の収集を継続して行なっていく。症例が一定数確保できたらシークエンスを行い解析を進める。また、免疫チェックポイント阻害薬や重粒子線治療を受けた症例の検体も採取し、免疫学的に比較検討していく。
|