研究課題/領域番号 |
21K09628
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大西 弘恵 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (50397634)
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研究分担者 |
山本 典生 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70378644)
田浦 晶子 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (70515345)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | オルガノイド / Carbonic anhydrase 13 / 極性 / 三次元構造 / 蝸牛 / ヒトiPS細胞 / SVIP / 内耳蝸牛 / ゲノム編集 / 組換えマウス |
研究開始時の研究の概要 |
聴覚を司る蝸牛の3次元構造を再現した蝸牛オルガノイドの報告はまだない。その理由として蝸牛発生メカニズムの解明が十分に行われていないこと、適切なマーカー遺伝子が無いことが挙げられる。申請者らはCar13が胎児マウス蝸牛感覚上皮予定領域特異的に発現することを見出し、蝸牛マーカーとして有用であると考えた。発生後期ではCar13はコルチ器外側へ発現が限局し、内有毛細胞に強く発現する。従って、蝸牛内の内側外側の極性形成にも関与する可能性があるが、発生過程における機能は不明である。そこで本研究では遺伝子組換えマウスを用いた蝸牛形成機構の解明と蝸牛オルガノイド作製を目的とする。
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研究実績の概要 |
聴覚を司る蝸牛はらせん構造からなる複雑な形態を示すが、この3次元構造を再現した蝸牛オルガノイドの報告はまだない。その理由として蝸牛発生メカニズムの解明が十分に行われていないこと、神経などに発現せず蝸牛の身に発現する適切なマーカー遺伝子が無いことが挙げられる。申請者のグループが発生初期内耳での発現を独自に同定したCarbonic anhydrase 13(Car13)は蝸牛感覚上皮予定領域特異的に発現し、前庭、神経でほぼ発現が見られないことから蝸牛マーカーとして有用である。さらに発生後期ではCar13はコルチ器外側へ発現が限局し、内有毛細胞に強く発現する。従って、蝸牛内の内外側の極性形成にも関与する可能性があるが、発生過程における機能は不明である。そこで本研究ではCar13の機能解析を中心とした蝸牛形成機構の解明と蝸牛オルガノイド作製を目的とする。Car ファミリーは16のメンバーからなり、お互いにアミノ酸配列が類似している為、特異的抗体の作製が困難であるという難点があり、タンパク質レベルでの局在が確認できていない。そこでCar13-蛍光タンパク質ノックインマウス及びiPS細胞を作製し、これを研究材料とすることを目指す。2023年度までは前年度から引き続き、COVID-19の影響が危ぶまれたため、マウスの作製は停止し、Car13以外に蝸牛3次元構造を再現したオルガノイド作製のためのマーカーとして有用であるであると考えられる蝸牛頂端部局在タンパク質であるSVIPにつき引き続き検出法の検討をおこなった他、未発表の遺伝子Xにつき作成したKO mouseとの比較解析により、局在の確認や形態変化につき検討した。年度終盤からヒトiPS細胞由来内耳オルガノイドの誘導を再開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Car13のタンパク質レベルでの局在確認と、機能解析の為、Car13を蛍光タンパク質に置き換えたノックインマウスの作製を進めていたが、いまだCOVID-19の影響が払しょくできず、年度途中からは教育業務が押していたため、新たなマウス系統の作製がためらわれ、研究期間を延長し、2024年度に持ち越すこととした。ヒトiPS細胞からの内耳オルガノイドの誘導条件の検討を年度終盤頃から再開したが年度内には終了しなかったため、次年度に持ち越す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
まず、Car13ターゲティング(TG)マウスの作製と機能解析をおこなう。Car13遺伝子を蛍光タンパク質で置き換えたタイプのTGマウスを作製する。2022年度までに作成したドナーベクター、Cas9 タンパク質と共にマウス受精卵にインジェクションし、蛍光タンパク質レポーターTGマウスを作製する。次に、この Car13-TGマウスを用いたCar13の機能解析を行う。Car13-TGマウスのヘテロ接合型での蛍光タンパク質の局在をCar13の局在とみなし、発生過程での発現を詳細に検討する。内耳組織培養のライブイメージングなどにより時間、空間的解析も行う。また野生型, ヘテロ接合体, ホモ接合体(=Car13 KO)それぞれで、発生過程での内耳形態、有毛細胞や支持細胞等特定の細胞種の分化や配向、蝸牛各部位のマーカー遺伝子の発現や局在を検討する。またマウスの聴力を測定し、聴覚異常の有無を検討する。聴力に異常があれば異常が発生する時期を特定し、組織学的解析との相関を検討する。これらの検討によりCar13の機能を解析する。 並行してCar13-蛍光タンパク質ノックイン(KI)ヒトiPS細胞の作製と蝸牛型オルガノイド作製法の確立を行う。Car13遺伝子が発現すると蛍光タンパク質も発現するタイプのKIヒトiPS細胞を作製し、これを用いて蝸牛型オルガノイド作製法を検討する。マトリゲル包埋培養による誘導因子の濃度勾配下での培養やカルチャーインサートの利用など極性のある培養法での培養を試み、Car13の発現を指標に誘導法を検討し、確立する。Car13-TGマウスの解析から、蝸牛化や3次元構造構築に関連するカスケードなどの知見が得られていれば、それを応用する。Car13以外の蝸牛特異的遺伝子も追加のマーカーとして用いる。
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