研究課題/領域番号 |
21K09630
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小川 真 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教授 (80403179)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | サルコペニア / 呼吸調節 / 胸腔内圧 / 腹腔内圧 / 呼気努力 / 音圧レベル / 皮膚加速度レベル / 喉頭 / 声帯萎縮 / 咳払い / 嚥下障害 |
研究開始時の研究の概要 |
本邦の高齢化の進行に伴ってサルコペニア(筋減少症)が注目を集め、近年呼吸・嚥下など局所のサルコペニアの報告が見られる。耳鼻咽喉科領域ではこれまで声帯萎縮という疾患が知られていたが、喉頭筋力の評価は行われおらず、サルコペニアとの関連は不明であった。本研究では、キネマティクスを用いた声帯間角速度・角加速度を指標とて、喉頭サルコペニアの病態を複数の喉頭機能・呼吸運動能力を含めて多面的に特徴づけ、喉頭サルコペニアという疾患概念を確立することを目指す。特に加齢と喉頭筋筋力・喉頭機能との関連性、および、局所・全身の筋力増強訓練の効果について検討する。本研究の成果は、健康寿命の延伸に繋がると考えられる。
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研究実績の概要 |
喉頭サルコペニア、および呼吸サルコペニアの病態を特徴づけるために、健常人、および高齢者の参加者を対象として、発声・咳払い中の喉頭内視鏡検査、頸部表面加速度計、消化管マノメトリー、および発声機能検査装置による同時計測を行い、これらの測定値を健常人、および高齢者間で比較することを計画している。2022年7月に注文を行った発声機能検査装置が、2023年1月に納入され、2023年4月より当装置を用いた計測に着手し、健常人を対象として主に呼吸調節の生理的パターンを明らかにすることを目標とした。 本年得られた実績の概要を以下に列挙する。 (1)発声機能検査装置を用いることにより、声の大きさを徐々に大きくしていくクレシェンド発声課題を遂行中の音声の強さ、気流量の連続的変化が評価できることが確認された。 (2) 頸部表面加速度計、騒音計、および発声機能検査装置の3種類の装置の計測値の間の関連性について検討し、口の形、および頸部の姿勢が維持されている状態であれば、計測値間の線形性が維持されることが確認された。 (3) 健常人のクレシェンド発声中の栄理学的な呼吸調節の特徴を明らかにするために、健常人において、円滑、かつ15dB以上の音圧レベルの増加を示した成功サンプルと、急激な増加、あるいは15dB未満の増加を示した失敗サンプルの間で、胸部食道内圧、および胃内圧の変化を比較したところ、発声直前吸気のピーク時、起声時、発声中の音圧レベルピーク時のいずれの点においても、胸部食道内圧、および胃内圧の両方に有意差が認められた。また失敗例では、起声時の音圧レベルが、成功例に比較して大きかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
発声機能検査装置が受注生産であり、注文後から納入までに約6ヶ月を要したこと、新型コロナウイルス感染の拡大の波が繰り返し発生し、感染拡大の間は大声・咳払い発声時のデータ記録をすることが困難で、波の間でデータ記録を行ったことがある。
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今後の研究の推進方策 |
今後、健常人に加え、高齢者を対象として、データを記録してゆく。また消化管マノメトリーと喉頭内視鏡の両方の検査を同時に施行することが理想ではあるが、両者を経鼻挿入することが困難であることが本年行った予備実験で明らかとなった。喉頭調節の評価を、喉頭内視鏡ではなく、電気声門図を用いて行う、あるいは、消化管マノメトリーと発声機能検査装置の組み合わせで呼吸サルコペニアのみをテーマとした研究を先行させることを検討している。
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