研究課題/領域番号 |
21K09632
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
稲瀬 安希 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (90596181)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 甲状腺癌 / 未分化癌 / 脱分化 / 上皮間葉転換 / バイオマーカー |
研究開始時の研究の概要 |
甲状腺未分化癌は全固形癌の中でも悪性度が高く予後不良である。高分化癌から脱分化して生じると考えられている。未分化癌の悪性度に関わる遺伝子変異が同定されていく中、脱分化を誘導する遺伝子変異については不明のままである。本研究では「高分化癌が未分化形質を獲得する機序の解明」を目的とし、同一腫瘍検体の高分化部位と未分化部位の遺伝子変異の網羅的解析、細胞株を用いた未分化形質獲得解析により、脱分化を誘導する遺伝子変異を明確にする。さらに特定した遺伝子変異の腫瘍由来DNAでの検出可能性を調べる。本研究の成果は、甲状腺未分化癌の新規診断法や治療法の開発につながることが期待される。
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研究成果の概要 |
本研究では、甲状腺高分化癌が未分化形質を獲得する機序を解明することを目的とした。まず、高分化癌から未分化転化した患者検体を用いた高分化部位と未分化部位の遺伝子発現比較から、未分化転化には上皮間葉転換(EMT)が関与していることがわかり、未分化形質獲得の関連候補因子として、FOXD1に着目した。甲状腺癌細胞株を用いた実験から、FOXD1のEMT関与と、EMT転写因子SNAI1/2との相関関係を明らかにした。また、FOXD1の発現調節にはプロモーター領域の脱メチル化が関与している可能性を見出した。さらに、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術によるFOXD1ノックアウト細胞株を樹立した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、甲状腺高分化癌が未分化形質を獲得する機序に関連する候補遺伝子としてFOXD1を見出した。FOXD1の発現調節により、EMTを制御できる可能性があることが示唆された。このことは治療法が確定しておらず、極めて予後不良である甲状腺未分化癌の新規治療法のターゲットとなる可能性がある。また、未分化癌の早期発見マーカーとして利用できる可能性もあり、今後の臨床応用が期待される。
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